笑ってはいけないけれど、笑ってしまう
今から20年近くも前の話ですが、競艇ファンの間では今でも伝説になっている有名な放送事故が「だいこんおろし事件」です。
今は浜名湖競艇場でしか実施されていませんが、当時は各地の競艇場でレースに冠スポンサーをつけることができて、個人でも規定の料金(個人協賛金としてⅠ万円程度)を払えばレースに自分の好きなタイトルを付けることが出来ました。
そして、この放送事故は、2003年2月22日の戸田競艇場の11レースに起きました。レース名は、「冠協賛競走『だいこんおろし』の彼女募集記念レース」です。
いくらプロのアナウンサーでも笑いを堪えられなかったのですから、まさか冠レースにこのようなタイトルを着けて、しかもその理由のコメントがあまりのもユニークだったため、アシスタントとして原稿を読んだ女性アナウンサーも笑ってしまい、しばらく喋ることが出来なくなってしまったのです。
一度、可笑しくて笑ってしまうと幾らプロでも止まらなくなってしまうようで、可愛そうな気もしますが有名な事件になってしまいました。
どのようなアナウンスであったのかご紹介すると下記の通りです。
以下のアナウンスの内容を見ながら動画をご覧ください。レース実況ではなく、次のレースを紹介するインフォメーションの一節です。
【第11レースのタイトルは「だいこんおろし」の彼女募集記念レースとなっています。
このタイトルには「だいこんおろし」38歳、会社員(半笑)、群馬県南部在住、
ボート……………(笑いをこらえているが声が出ない)
ボートビア岡部をはじめ(また笑いそう)、桐生、戸田を愛する男(笑)。
人柄は良いのに、何故か女性に縁が無い。
ここいらで、人生というレースで万舟を取って欲しい。
というオオイワノボル様からのメッセージが込められています。
なお(半笑)、だいこんおろしさんについて(笑)詳しく知りたい方は……………(笑いを堪えきれず、しばらく沈黙)
なお、だいこんおろしさんについて詳しく知りたい方は(また、笑いそうになる)ご覧のアドレスまでアクセスして下さい。】
以上が放送の内容です。
さすがに、この後にレース実況をした男性アナウンサーは、同じ内容のコメントも普通に読み上げ、全くひるまずに淡々とアナウンスしました(さすが、ベテラン)。
一躍、有名人になってしまった「だいこんおろしさん」
この事件を発端に「だいこんおろしさん」は一躍有名人になってしまいました。自分では前日までこのタイトルを全く知らないうちに使われたようで、このアナウンサーを気の毒に思い、だいこんおろしさんは自身のブロブの中で謝罪していたようです。
しかし、友人たちのこのユニークなタイトルの冠レースは留まるところを知らず、その後も各地の競艇場で実施されました。
第2回 「だいこんおろし」の彼女募集記念
2004年6月26日 浜名湖第7レース
ドッキリで行われましたが、本人が前日にホームページでみて発覚。
第3回 「だいこんおろし」の彼女募集記念
2004年7月4日 多摩川第11レース
出走表を見るまで本人は気づかったらしく、3回目にしてドッキリはほぼ成功。
第4回 群馬のヨン様こと「だいこんおろし」の彼女募集記念
2004年9月12日 平和島第11レース
今回から冠にヨン様が入っています。
第5回 ヨン様激似 第5回「だいこんおろし」の彼女募集記念
2004年11月18日 浜名湖第6レース
ホームページで公開されているのはこれで最後です。
TVのバラエティでも取り上げられ人気に
更に、競艇ファンや一部のマニアだけでなく、この事件は深夜のテレビのバラエティでも紹介され、だいこんおろしさんばかりでなく、担当アナウンサーだった小田桐奈緒美さんも有名になってしまいました。
その後、彼女のアダなが「おろしさん」になってしまったのには気の毒な気もします。
このように5回も実施したにもかかわらず、応募した女性は無く、彼女は出来なかったようですが、後日談として2011年6月にだいこんおろしさんが結婚したことがネットにツイートされると瞬く間にその噂は広まり、全国のファンから祝福のコメントが寄せられたようです。よかったですね!
あってはならないことですが、許される?放送事故
放送事故は、放送をするものは勿論、マスコミに携わる者にとっても決してあってはいけないことですが、このように心温まる悪戯ならば許されるのではないでしょうか? ただ、この事件は競艇の放送事故№1になってしまったのには、担当者だったアナウンサー・小田桐さんにとっては不名誉な事かもしませんが、今となっては笑って話せることかもしれませんね。
ところで、その後だいこんおろしさんと小田桐さんの対面が実現したというニュースを見かけました。
だいこんおろしさんの顔にはモザイクが掛かっていて素顔は見られませんでしたが、小田桐さんと並んだツーショット写真が紹介されていました。この画像は2009年のものでしたから、まだ結婚前のものでしょうが、この時には既にだいこんおろしさんには彼女がいたようで、不惑の年齢は超えてしまいましたが、お二人がいつまでも幸せであるよう心から願っています。