熟考を重ねて予想したのに、軸のボートがフライングしてパァ・・・なんて事が起こり得る競艇。
競艇では、出遅れやフライングをスタート事故と呼んでいますが、これを起こしてしまうとお客さんだけではなくレースを運営する主催者側にも損害を与えるなど、迷惑がかかります。
そのため、フライングをした選手には、重い罰則が課せられています。
この記事では、競艇のスタート事故について、罰則やフライング休み、回数のリセットタイミングなどについて、解説していきます!
スタート事故について
まずスタート事故とは何かを説明すると、競艇はフライングスタート方式を採用しています。
大時計の針が0秒を指してから1秒以内に、スタートラインを越えるかボートの一部分がラインにかかっていないといけません。
これより早ければフライング、遅いと出遅れと表し、どちらも失格となってしまうんです。
フライングの罰則
ここからは、フライングをしてしまった場合の罰則(ペナルティ)を順番に解説していきます。
オッズの再計算と払い戻し金
フライングが起こった場合、対象のボートの絡んだ舟券は全額返還(買い戻し)となり、購入金額は全額戻されます。
そして、この分の金額を引いた売上金からオッズが再計算されるため、そのレースを的中させたお客の払い戻し金が減ってしまうことになります。
また、運営側の売り上げが減ってしまうことも・・・
このことから、フライングはお客と運営の両方に損害が生じてしまう重大問題ということが分かりますね。
選手側へのペナルティ
フライングをしてしまった選手にはその後の斡旋停止、同一節内で2回目を起こすと即日帰郷させられるなどといったペナルティがあります。
ペナルティの仕組みとしては、級別決定期間内のフライングの回数に応じて斡旋停止期間が加算されていき、最後には引退勧告がなされるほど重いものとなっています。
また、0.05秒以上のフライング事故については「非常識なフライング」とされ、事故の回数に関係なく即日帰郷となります。
(※賞金王決定戦・賞金女王決定戦では適用されません。)
スタートの再訓練
1回目のフライング事故を起こした選手はそこから100走以内に2回目を起こした場合、日本モーターボート選手会常設訓練所にて再訓練が課せられます。
事故点について
事故点とは選手がフライングや出遅れのスタート事故や、反則など起こした場合に加算される点数になります。
スタート事故は20点(優勝戦は30点)、反則行為は15点、選手責任失格(エンストや転覆)は10点となっており、この点数を出走回数で割った数字が、選手の持つ事故点になります。
階級決定期間内で事故点が0.7点を越えると、どんな優れた選手であろうとB2級へ降格となります。
また、1.0点を越えると強制的に6か月間の休みとなってしまうため、選手にとっては非常に重い罰則と言えますね。
フライング休みはいつから?
フライング事故を起こした選手は斡旋停止となり、その期間レースに出場できなくなります。
しかし、これはすぐに適用されるわけではなく、すでに斡旋が決まっているものがあれば、そのあとに適用される事となります。
休みの間の選手の過ごし方
フライング休みの間は、トレーニングや練習などで消化している選手が多いようです。
しかし、A1級の選手ともなると斡旋が絶え間なく入っている状態が続いているらしく、フライング休みがやっと得られる休日という見方をされている選手もいるようです。
罰則期間はどれくらい?
フライングを起こした選手にはペナルティとして、30日間の斡旋停止が科せられます。
そして、回数を重ねるたびにその期間が加算され、2回目は60日、3回目は90日、4回目は180日の加算。
1節の間に4回のフライングを起こしてしまうと、事実上の引退勧告となることがあります。
回数が多いほど出場禁止期間が増えてしまうので、プロといえどレースに出られなければ収入はありません。
また、当該出場節の賞典レースも除外される他、SGなどの大きなレースにも出られなくなります。
しかし、一部のレースではこの辞退期間の間でも出走可能なものがあり、賞金王決定戦の選考順位が21位以内、または賞金女王決定戦では選考順位が15位以内であれば出場できます。
フライング回数のリセットタイミング
回数のリセットは階級決定期間の初日にあたる、5月1日と11月1日になります。
SG・GⅠ・GⅡ格のレースはより重い罰則が!
SG・GⅠ・GⅡ格の準優勝戦以上のレースでのスタート事故については、より重いペナルティが決められています。
これらのレースでフライングなどを起こした場合、一定期間これらの大きなレースに出場できなくなります。
グレードの高いレースに出られなくなるということは、選手にとって成績や獲得賞金額への影響が大きく、選手生命すら揺るがす死活問題といっても過言ではないでしょう。
※2023年にSG・GI・GIIのスタート事故の罰則が強化されました。詳しくはこちらの記事をご覧ください。
罰則が重い理由
SG・GⅠ・GⅡ格の準優勝戦以上のレースでのスタート事故が何故そこまで重い罰則なのかというと、運営側からすると、これらのレースは一般戦よりも売上が期待できるから。
返還事故が起きてしまうと多大な損失となるため、厳しい罰則を設けているわけですね。
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