競艇では、ターンの際に見られる激しい競り合いが醍醐味です。
競り合いの際に見られる高度な技のひとつに、ダンプがあります。ダンプは成功すると他のボートを押しのけられる派手な技ですが、反則と判定されることも多い紙一重の技でもあります。
ここでは、ダンプについて詳しく解説します。
ダンプについて
ダンプは、他のボートを追い抜く際に見られる競艇の技のひとつです。危険な上に高度な技術を必要とする技ですが、わざわざ仕掛けるのには理由があります。
ダンプは非常に高度な技
ダンプは、競艇の航走方法のひとつです。先行するボートとの間に、3~4艇身程度の距離があるにも関わらず、艇首をあまり返さず突っ込んで相手を弾き飛ばし、自分はその反動で前に出ます。一方で、ぶつけられた相手のボートは、外側に弾き飛ばされた反動でスピードが奪われます。
ダンプは、あえて先行するボートに接触することで相手をはじいて自分が前に出るという荒業なので、一瞬の判断力と操作力を必要とします。仕掛ける側には高い技術力がいる技なのです。
ダンプを仕掛ける理由
レースの際に、危険を承知であえてダンプをするのには理由があります。
競艇は、一周600mのコースを3周してゴールの順位を競う競技です。レースでは、一周目のターンの際の位置取りでその後の順位がほぼ決まります。そのため、一週目の第1マークと第2マークのターンの際には、激しい競り合いが見られます。ダンプが見られるのもこの時です。
先行するボートがターンのために横向きになったところへ、後方のボートが高スピードで船体を接触させて相手を弾き飛ばします。ダンプを仕掛けた後方のボートはスピードに乗っているのでそのまま前方に押し出される形になります。
ダンプは、後方のボートが逆転を狙うために仕掛ける技なのです。
ダンプと反則は紙一重
一見危険な走行にも見えるダンプですが、航走方法のひとつとして認められています。しかし、場合によっては不良航走や妨害失格として反則と判定されることがあります。
ダンプで不良航走となる場合
ダンプは、不良航走として判定される場合があります。
競艇では、ターンの際に前方のボートを追い抜く際は、基本的には外側から追い抜かなければならないというルールがあります。ただし、他のボートが妨害となったり前方の艇と十分な距離があったりした場合は内側から追い抜いても良いことになっています。
このため、多くのレースで後方のボートが内側から追い抜く姿がよく見られます。
ダンプで不良航走の判定となる場合は、ターンマークギリギリのところで前方の艇に接触したときが多いようです。十分な距離がないのに内側に突っ込んだことで、不良航走と判定されるのです。
ダンプが成功したレースでも、不良航走と見なされることは多くあります。また、ダンプによって勝敗が決した場合は、ファンの間でも賛否が分かれるレースとなることがあります。
ダンプで妨害失格となる場合
ダンプでは、他のボートを巻き込むことによって妨害失格となる場合もあります。
ダンプで妨害失格となるのは、ダンプによって他のボートを落水や転覆をさせたときです。また、自身のボートが転覆したことで他のボートを巻き込んでしまった場合も妨害失格となります。
ダンプを仕掛けたことによって、仕掛けたボートのみが落水・転覆した場合は選手責任の事故失格となります。
ダンプは高度で危険な技であるため、失敗すると落水や転覆といった妨害失格となるリスクを負うことになるのです。
不良航走や妨害失格の罰則
ダンプによって不良航走や妨害失格と判定された場合は、罰則があります。
ひとつは事故点の加算です。不良航走の場合は2点、妨害失格の場合は15点の事故点が加算されます。加算された事故点の合計を出走回数で割って算出した事故率が0.70を超えると次節はB2級となります。
また、1節の間に不良航走や妨害失格を3回行ってしまった場合は、即日帰郷が命じられます。即日帰郷が命じられると、その節のレースに出走することができません。
ダンプによって不良航走や妨害失格となると、収入や成績に関わるようなペナルティが課せられます。ダンプは、失敗しても成功してもリスクの高い技といえます。
ダンプ自体が少なくなっている
ダンプは、不良航走や妨害失格のリスクがあるため、最近のレースでは仕掛けることが減っています。よりフェアなレースが求められているため、現在のレースではダンプはラフプレーと判定されがちなのです。
旋回技術が向上したことやエンジンの性能が良くなったことでより円滑なレースが行われていることも、ダンプが少なくなった理由の一つとして挙げられます。
まとめ
水上の格闘技と呼ばれる競艇では、ダンプのような派手なぶつかり合いが見られるのも大きな醍醐味でした。しかし、ダンプはペナルティを課せられる反則と判定されることもあります。
よりフェアプレーが求められる現在のレースにおいて、危険と隣り合わせであるダンプが見られることは少なくなっているのです。