競艇は水上で行う競技ですので、水面状況が荒れるとレーサーが転覆などを起こす危険性があります。そのため、天候が荒れた時には、レースが開催中止・開催打ち切りとなる場合があります。
この記事では、台風などによって開催場の天候が荒れそうな場合、競艇の開催がどうなるのかについて、説明します。
レースの開催と中止
競艇の場合、レースを開催するかしないかは、全て「開催執行委員長」に一任されています。
そのため、中止にするかどうかは委員長の判断次第になりますが、一般的に競技可能な水面状況であれば、そのまま開催。危ないと判断されるような状況になれば中止になります。
なお、その日のレースが開催中であっても、危ないと判断されるような状況になればその時点で中止になることがあります。
「そうすると、走った選手と走ってない選手が出るので、不公平では?」と思われるかもしれませんが、これについてはルールがあり、4レースまでで中止となった場合、その日のレースは無かったものとみなされ、予選であれば賞金は出ますが点数は加算されません。
逆に、5レースまで終わっている場合はレースが有効になり、賞金も点数も加算されます。その代わり、出場できなかった選手には不公平を解消するため、翌日以降のレースの番組編成で調整が行われます。
競艇では、1回の開催における全選手の出場回数は必ず同じ回数にしなければならないので、このような調整が行われます。
なお、中止となったレースの舟券は全て払い戻されます。
優勝戦が中止になった場合は?
以上が、レースの中止に関する基本ルールですが、競艇の開催は通常、予選→準優戦→優勝戦と順に行われます。
準優戦・優勝戦が中止になったらどうするのかという疑問をお持ちの方もいると思いますが、この場合、2つのケースに分けられます。
開催日順延
第1のケースは、「開催日順延」といって、開催期間が延長されるケースです。
競艇では、「最大2日間まで延長開催が可能」という規定があり、これに従って開催期間を延長して準優戦→優勝戦を行うことになります。
ですが、準優戦や優勝戦に出場する選手の中に、「次の斡旋が、本開催が終わった2日後にある」という選手がいると開催期間の延長が不可能となります。
この場合、次のケースとなります。
その他のケース
第2のケースとして、まず準優戦が荒天により開催できなかった場合、優勝戦は予選点数の上位者で出場選手が決定され、翌日が開催可能であれば、そのまま優勝戦が行われて優勝者が決定されます。
しかし、優勝戦が荒天により中止となってしまう場合もあります。この場合、「中止打ち切り・優勝者なし」とされ、優勝賞金は優勝戦の参加予定選手に適宜、配分されます。
ただ、実際に優勝したわけではないので、配分される金額は優勝賞金全額ではありません。飽くまで主催者側の判断で、「適宜に配分」されるようです。
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例えばA級選手であれば、一か月に3回の斡旋があり、特にA1級は長めの開催であるSG・G1に斡旋されることが多いので、A1級の選手が参加している場合は一般戦の延長開催はほぼ無理なようです。
そのため、一般戦で「優勝者なし」となることは結構あるようです(やはり、河川を利用している江戸川競艇場で一番多いとか)。
SGレースなどではどうなる?
ちなみに、SGなどの大レースで中止が発生した場合、「優勝者なし」になってしまったら一体どうするの?という疑問もあると思います。
競艇は天候に左右される競技であり、SGなどの重要なレースでは、予め「2日間の開催延長」が可能なように、出場選手の次の斡旋が余裕を持ってなされています。
万が一、期間中に中止があっても、延長開催が可能なよう配慮されているわけですね。
そのため、SGで「中止打ち切り・優勝者なし」となることは、よほど荒天が続かない限り起こりません。
これまで延長開催となったケースはありますが、これまでSGで「優勝者なし」となったケースは一度もないそうです。
まとめ
この記事では、天候が荒れたときのレース開催はどうなるかについて書かせて頂きました。
開催執行委員長の中止判断はいつ出るか分からないものですが、さすがにレースの真っ最中に出た例はありません。
しかし、「レース開始ギリギリ」に下されることもあり、かつて鳴門競艇場では、選手がスタート位置に着き、大時計が回り始めてから、強風を理由に中止となった例があります。
主催者側は、レースを開催すれば利益が出ますので「できれば続行したい」というのが本音ですが、あまりに水面状況が悪いなか強行すると、選手の安全に関わってきてしまいます。
最終決定は開催執行委員長に一任されており、委員長の責任は重大です。荒天の際は、中止にするか、ギリギリの見極めがなされているわけですね。