
競艇では、「チルト」という言葉がよく出てきます。
出走表を見ると「チルト角度」が記載されていたりしますが、初心者の方は、これは何だろう?予想にどう使えばいいんだろう?と思うかもしれません。
実は、チルト角度の違いによって、ボートの性能に大きな違いが生まれてきます!

この記事では、競艇の「チルト」とは何か、一体どんなパーツなのか、チルト角度を変える効果、またチルト3度で有名な選手を解説します!
チルトとは?
チルトについては、こちらのボートレース公式映像配信の動画が一番分かりやすいです。
そもそも「チルト」(チルト版)の正式名称は、「チルトアジャスター」。
ボートに取り付け、モーター角度(モーターの跳ね上げの角度)を調整するためのパーツで、五角形をしている部品です。

出典:ボートレース公式映像配信

想像したよりも小さいパーツだなと思われた方もいらっしゃるのではないでしょうか!?
このパーツを、モーターの↓この箇所の、両側に取り付けて調整するようです(=チルトアジャスターは左右で1セット)。

このチルト版には、それぞれの面に角度が表示されており、その種類は-0.5、0、0.5、1、1.5、2.0、2.5、3の最大8段階で調整することができます。
※0.5刻みであり、0.8などはない
-0.5にするとモーターの跳ね上げ角度が最も小さく、逆に3にすると最も大きくなります。

この五角形のチルト版は複数あるそうで、例えば選手はチルト3度に調整したいなと思った場合は、競艇場で「3度用のアジャスターを下さい」といった具合で、対応するチルトをもらうようです。
ちなみに、どの競艇場も8段階のチルト角度が使えるわけではなく、競艇場によって調整幅が決まっています。
競艇場別のチルト角度
BOAT RACE公式サイトに、「各ボートレース場のモーター及びチルト角度」を掲載しているページがあります。
チルト角度の調整幅は、それぞれの競艇場の広さや、水面事情によって決められています。
例えば戸田では、コースの幅が全国で1番狭いことが理由で、チルト角が3種類(-0.5、0、0.5)しか選ぶことができません。
後述しますが、チルト角度をプラスに調整するほどボートは不安定になるため、転覆などの事故がないよう、各競艇場の環境に合わせた調整幅が決められているわけですね。

チルトを変える効果
このチルト角度を調整する効果ですが、一言で言うと、ボートの走行性能に違いが出ます。
チルト角度が0度の場合、ボートに対してエンジンが直角に取り付けられます(この時には、ボートの舳先が水面に対して水平になるイメージ)。
チルト角度をプラスに調整した場合、モーターが跳ね上げられ、実際のレースではプロペラが押すためモーターが沈み込み、ボートの舳先が浮き上がります。
その結果、接水面積が少なくなり、伸び足が良くなる(=抵抗が少なくなる分、直線でのスピードが出る)という効果があります。
例えば展示タイムは、直線のスピードを計測するため、チルト角度の影響しているため
デメリットとしては、スピードが出る一方で、ボートが不安定で乗りづらくなり、スタートやターンが難しくなる点があります。

プロペラの角度が上を向くので回転は上がりやすいが、走る時に少しロスが出る(一瞬、下向きの推進力になる)=出足がちょっと悪くなる、ということのようですね。
逆にチルト角度をマイナスに調整した場合には、ボートの舳先は下へ向こうとします。
そのため、直線スピードは出にくいが、ボートの接水面積が増えてボートの乗り心地は良くなります。そのため、基本的に多くの選手がマイナスに調整して乗ることが多いようですね。
「チルト3度」で有名な選手:阿波勝哉選手と菅章哉選手
「チルト3度」と言えば、まずは1973年生まれのベテランレーサー・阿波勝哉(あわ・かつや)選手が思い浮かびます!
チルト3度=スピード重視のセッティングをして、大外からのまくり勝負に賭ける選手です。スタートから1マークまでの間に、2艇身もの差をつける時もあったとか・・・
ホームの平和島には、かつて阿波選手にちなんだ「チルト3丼」という名物メニューがあったほどです。
もう一人は、菅章哉(すが・ふみや)選手!

1988年生まれで2009年デビュー、佐賀支部に所属する105期の選手ですが、一時期は阿波選手ばりにアウト屋として名を馳せました。
茅原悠紀選手をして、峰竜太選手より6コースの菅選手の方が脅威と言わしめるほどでしたが、2019年~2020年にかけてフライングを3回もしてしまい、なんとB2級に降格。
その後は、コースによってチルト角度を選択するというスタンスに変わりましたが、今でも外コースに入った場合にはチルト角を最大まで上げて勝負してくれるため、ファン人気も高いです。
菅選手は、2025年4月には津の周年記念を制覇し、G1初優勝を決めています。



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