
競艇の決まり手の一つに「まくり」というものがありますが、初心者の方には聞きなれない言葉ではないでしょうか。
これは、アウトコースの艇が主に使う戦法で、決まれば一気に優勢に立てるのが特徴です!
また、「まくり」を得意とする選手などもおり、普段は勝率的に頼りないアウトコースの艇でも、こういった選手がいる場合には要チェックです。

この記事では、「まくり」とはなにか、「まくり差し」との違い、予想時のコツ、さらに「まくり屋」について、詳しく説明していきます!
「まくり」とは?
まくりとは、第1ターンマ-ク旋回時に、インにいる他艇の外をグルっと回りながら、先にターンを抜ける戦法です。
簡単に言うと、スタートから1マークまでの間に内側の艇より前に出て、内側の艇の前を横切り、そのまま1マークを回って(膨らみながらも)トップに立つ・・・というワザです。

1マークでは、スロットルをほとんど落さず全速のまま突っ込んでいくため、ターン後のバックストレッチで大きく膨らむことが多いですが、それでもトップにさえ立てば勝てる可能性も高くなってきます。
スタートから1マークまでに十分な加速をつけて、内側の艇の前に出たうえで全速ターンをするため、一定の技術が必要になります。
スタートはトップスタートが理想で、内側の艇の前に出るため、「伸び」が重要になります。
「まくり」を狙う選手は、モーター整備・ペラ調整を「伸び足」メインに行います。
そのため、ピット離れが悪くなってしまい後手に回るので、まくり専門の選手は必然的にアウトへ行かざるを得なくなります(なお、「まくり専門」の選手はアウトの方が好都合なので、それはそれで良い訳です)。
「まくり差し」との違いは?
似たような名前の「まくり差し」は、基本的には「まくり」と同じですが、まくり時に先行するイン艇がいた場合、その内を差しに行く技です。
「まくり」はまくった後、艇が外側に流れますが、「まくり差し」は、くるっと向きを変えての差しとなりますので、前艇の内側から抜いていくことになります。
詳しくはこちらの記事にまとめていますので、是非ご覧ください!


「まくり差し」は、状況判断力などを含め高い技術が求められ、それがないと他のインから来る艇と衝突してしまう危険があります。「まくり」と似ていますが、難易度に大きな差があると言えるでしょう。
なお、「まくり」や「まくり差し」は、原則としてアウトコースから仕掛ける戦法です。1コースはまくる相手がいないので使えませんし、2コースも基本的には「差し」が戦法になります。
3コースについては、「まくり」がオーソドックスな勝ち方です。

「まくり」は最初の1マークだけの技ですが、「まくり差し」はターンマークで毎回使うことができます。
「まくり」を予想するときのコツ
「まくり」を予想する際には、まず風向きに注意です。
イン側は助走距離が短いので、少しでも押してくれる追い風が有利。一方、トップスタートを狙うアウト側は、向かい風だと風が押し戻してくれるのでフライングの危険性が下がり、思い切ってスタートできます。
そのため、「向かい風」を「まくり風」と呼んだりもします。「追い風」の場合、アウトからの「まくり」はやりにくい傾向にありますので、風向きには要注意です。
次に、「まくり」は、インが強い競艇場では、やりにくい傾向にあります。
大村・徳山・蒲郡など、インが強いと言われる競艇場では、たまに「まくり」が決まると超高配当になったりします。
逆に、江戸川・平和島・戸田・若松など、インが弱いと言われる競艇場では「まくり」が決まりやすい傾向にあり、こういった競艇場ではファンも「まくり」を期待して買っているので、当たっても案外に低配当だったりします。
「まくり屋」で鳴らした選手
イン有利である競艇ですが、中には「まくり屋」「アウト屋」と呼ばれる選手がいます。
どちらも「まくり」を得意とし(「まくり差し」は比較的新しい技術なので、主には「まくり」です)、レース時には好んで6コースなどアウトコースへの進入を取ります。
フライング・技の失敗なども少なくないため、成績が安定しにくいですが、成功時の勝率は高く、配当にも期待できるという特徴があります。
ただ、「まくり差し」が開発されて以来、まくり専門の選手は少なくなってしまいました。
更に、2012年の「持ちペラ制度の廃止」は、伸びに特化したペラを武器に戦っていた「まくり屋」に大打撃となり、ほとんどの「まくり屋」は廃業してしまいました。
ここでは、こだわりを持って「まくり屋」としてのスタイルを貫いていた強豪選手を何人かご紹介します。
小川晃司選手
小川選手は、今なお「まくり屋」を貫く唯一無二の存在です(別記事にまとめています)。

阿波勝哉選手
阿波選手は、1号艇でも必ず6コースを選ぶほどの「アウト屋」であり、「ピンロク」の典型的な選手でしたが、2025年、ついにアウト屋の引退宣言をしてしまいました(別記事にまとめています)。

「ピンロク」についてはこちらで解説しています。

澤大介選手
阿波選手と同じ79期の澤大介選手も、枠番に関係なくアウトコースを選ぶスタイルでした。
まくりを得意としており、例えG1級の舞台でも、豪快にまくりを仕掛けていくほどでした。
阿波選手の影響で同じスタイルで勝負していたそうですが、2021年にアウト屋からの引退宣言をしています。
日高逸子選手 ※引退
先日、遂に引退宣言をした日高逸子選手も、若い頃は「弾丸娘」と呼ばれた「まくり屋」でした。
デビュー時、まだ女子選手は圧倒的に少なく、一人前として認めてもらえず「いつまでも新人扱い」だったとか。
1号艇をもらってもインに入れてもらえなかったりすることが多く、女子選手はアウトから行かざるを得なかったのです。
しかし、女子選手は体重が軽いというメリットがあります。出足・直線スピードなどは男子選手よりも早く、ほとんどの女子選手は「まくり」と「抜き」で戦っていたのです。
その中でも、抜群のスタートの持ち主が日高選手でした。内側にいる男子選手をひとまくり・・・という光景が続き、ファンにも「女子も馬鹿にできねぇな」という認識を植え付けることに成功したのです!
日高選手の「まくり」は、女子選手の地位向上という大きな役目を果たしたといえるでしょう。
しかし「まくり差し」が全盛の今、モンキーターンの要である「右足でボートを蹴る力」が女子選手にはやや不足しており、男子選手と女子選手の実力差は、再び広がっています。
ただ、遠藤エミ選手などは、男子に負けない「まくり差し」を繰り出しています。つまりトレーニングによって鍛えれば戦えるということです。
黒明良光(くろみょう よしみつ)選手 ※引退
「まくり差し」の語源となった?とも言われる黒明選手については、こちらの記事で触れていますので是非ご覧ください。
ttps://kyotei-mania.com/makuri-sashi


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