まくり差し(捲り差し)は、競艇で6つある決まり手の一つです。一番多い決まり手は「逃げ」で、どのコースでも50%程度のレースがこの逃げで決まることは皆さんご存知だと思います。
ですから、アウトコースからの「まくり差し」でレースが決まれば高配当につながります。ただし、度々起こることではありません。それではどのような時に起こるのでしょうか? また、起こりやすい競艇場ってあるのでしょうか?
まくり差しとは
先ずはまくり差しとはどのような決まり手なのか説明しましょう。
「まくり」は主に3コースより外の艇が全速でターンし、内側にいる艇を外側からまとめて追い抜く方法ですが、
「まくり差し」は途中までは同じ攻め方で、先行する艇の空いた内側の隙間に鋭く差して抜けだす戦法です。
技術的に高度なテクニックが必要なので、誰でもできる訳ではありません。
でも、中には「アウト屋」と呼ばれる得意な選手がいて、一発狙いで攻めてくると高配当になることがあります。
まくり差しが決まる条件
さて、このまくり差しはどのような時に起こるのでしょうか? その条件と良く起こる競艇場を紹介します。
もし、その傾向が分かれば絶対有利な1コースを事前に外した予想が出来ますから、上手くいけば高配当に結び着くことになります。
先ず、第一にまくり差しを決めようとしている選手のスタートのタイミングの良さとその選手が引き当てたモーターの性能です。
これは出走表や展示航走を見れば確認できます。そして、何より重要なのはその選手の技術の高さです。これも選手のコース別の公式データを見れば分かります。
スタートの良さ、モーターの性能、選手の力量
そして、インコースの選手よりもいいスタートを切り、そのまま全速でまれる「行き足」の良いモーターならば、すべての艇をまとめてまくることも出来ますし、先にターンしたインの先行艇がいた場合は、その内側を差して抜け出せます。
まくり差しには、このタイミングを見極める高度な判断力と選手の力量が必要です。ですから、幾らエースモーターを引き当てても経験の浅い選手では難しいのです。
まくり差しに最適な競争水面
第二に捲り差しが決まりやすい条件として競争水面の特徴があります。スピードに乗った全速ターンをするには安定した静水面が必要です。
水の流れのない淡水でプール状の水面や海水の場合なら引き潮で水面が静かな時がまくり差しの狙い目です。
更にコースの広い競艇場もまくりやまくり差しが決まりやすい条件の一つです。特に1マークのバック側が100メートル以上ある広いコースが良く決まります。
ただし、関東でいうと淡水でコースが広く日本一の静水面と言われる多摩川、1コースの弱いことで知られる戸田では4カドの捲りが多く、まくり差しで勝利するケースはさほど多くはありません。
そこで、全国レベルでまくり差しの多い代表的な競艇場を紹介しましょう。
まくり差しが決まりやすい競艇場
浜名湖競艇場のまくり差し
浜名湖競艇場のまくり差しは全国でもトップクラスです。
浜名湖は1コースの勝率が低いので知られていますが、決まり手で逃げの次に多いのがまくり差しです。
特に3コースからのまくり差しは全国レベルでもトップクラスです。
理由の一つは浜名湖のコースが広い事、特に1マークのバック側が126メートルもありますから思い切って握ってくる選手が多く、5,6コースでも2,3着が十分狙えるコースと言われています。
また、競争水面は潮が流れ込む汽水ですが干満の差がなく、静かな水面ということが「まくり差し」が決まる理由の一つになっています。
蒲郡競艇場のまくり差し
蒲郡競艇場は基本的にイン有利のコースとは言われていますが、データを見るとそうでもありません。
「まくり」と「まくり差し」を合わせると「逃げ」とほぼ同じ数字になります。
その理由は蒲郡が汽水でも潮位の変化がなく、全国でも屈指の静水面であることと、2マークに比べて1マーク側がとても広い造りになっていることです。
特に1マークのバック側は156メートルもありますからアウトコースからの捲り差しが決まりやすい条件が揃っています。
常滑競艇場のまくり差し
常滑競艇場は海水ですが、開催期間中は完全なプール状なので潮の流れや潮位の変化がなくスピードターンが可能です。
基本的にはインが有利ですが、4カドまくりや5,6コースからのまくり差しが決まる率が高いのが特徴です。アウトからのまくり差しが決まると必ず万舟になります。
津競艇場のまくり差し
津競艇場は淡水でプール状の水面の静かなコースですが、冬場に強い向かい風が吹くのが特徴です。そのため、4コースからの捲り差しが良く決まります。また、スロースタートの3コースからでも捲り差しが決まるのがここの特徴です。
児島競艇場のまくり差し
児島競艇場は、海水で潮の干満差が最大2・5メートルあるので、満潮時と干潮時ではレース展開が変わります。満潮時は逃げと差しが強い水面、干潮時は捲り、捲り差しの水面に変わります。特に冬場は強い追い風が吹くので、まくり差しが決まる条件が揃っています。
まくり差しは決まるととても鮮やかなので、好きな決まり手と言う人も多いようです。しかも高配当になることが多いので、上記に挙げた条件の揃った時には是非「まくり差し」で大穴を狙ってください。