競艇では、本番レース直前に、展示航走(スタート展示・周回展示)と呼ばれる走行が行われます。 これは、本番前に各選手がスタートやターンを披露し、舟券の予想に役立ててもらうことを目的に行われています。 また、展示航走後、展示タイムという重要なデータが公表されます。 初心者のうちは、「展示航走や展示タイムは、なんだか難しそうだし、どのくらい本番に関係するかも分からないから、そこまで見なくていいや」と思ってしまいがちです。 しかし、ここから得られる情報は予想に大いに役立ちますし、それほど難しくもありません。初心者のうちから覚えておいて損はありません! 
イッカー先生
この記事では、まず展示航走(スタート展示・周回展示)について説明したあと、展示タイムの分析方法について、解説していきます!
展示航走(スタート展示・周回展示)とは
ボートレース平和島オリジナルVTR「学ボート」Vol 7・8
スタート展示
それではまず、スタート展示から見ていきましょう。 スタート展示は、ピットアウトから1マークまでを本番レース同様に行うため、本番さながらの駆け引きが見られます(昔は、1艇ずつ走り、ターンを披露して展示タイムを発表するだけでした)。ピットアウト
選手が艇に乗りこみ、エンジン始動信号の合図が鳴ったら動き始めます。ピットアウト後、小回り防止ブイと呼ばれる地点を目指して進みます。 ピット離れが悪いと、想定していたコースを他艇に取られて枠番通りの進入でなくなる場合がありますが、よほど遅い選手がいない限り、ほとんど無視して大丈夫です。コース取り
小回り防止ブイを回ったら、スタート30秒前までコース取り争いが行われます。 ほとんどのレースは枠なりでスタートしますが、ベテラン選手などが前づけと呼ばれるインコースを主張する戦略を見せることがあり、進入隊形が崩れて123456の順番が変わる場合があります。 コース次第で狙う戦法も変わりますので、前づけがあるかどうかは非常に重要です。 なお、スタート展示で前づけをした選手がいた場合でも、本番でも同様に行うかは分かりません。 本番ではインの選手が前づけを阻止してくるなど、スタート展示と異なる進入隊形になることもあります。 ただ、前づけがあるかもしれないレースは、展開が変わり、予想も変わってくるため、あまり初心者にはお勧めできません。そのため、スタート展示で前づけがあった場合は要注意です。スタート
各艇のコースが決まると、選手たちは、大時計を見てエンジンを起こすタイミングを図ります。 そして、ダッシュ艇は約10秒ぐらいから、スロー艇は5秒前ぐらいから走り出して、スタートラインを通過します。 ここでは、まずエンジンの起こし(舟が止まっている状態からスロットルを握ったときの反応)、モーターの出足(スタートラインに向かっていく加速に勢いがあるか)をチェックしましょう。
イッカー先生
これらが悪かった場合、出遅れる可能性が高くなります。
周回展示
周回展示は、スタート展示の直後に、一定の間隔をあけて1号艇から順に、水面を2周します。 競馬でいう「パドック」のようなもので、立ち上がりの出足、その後の行き足、直線の伸びなどが注目ポイントですが、特にターンの良し悪しをチェックしましょう!(1周目1マーク、1周目2マーク、2周目1マークの3回) 具体的には、ペラがしっかりと水を捉えているか、スピードを落とさず綺麗にターンしているか、小さい周回半径で回れているか、ハンドルを切ってしっかりとボートが向いているか、向いてからの加速がスムーズか・・・などです。 ターンで外側に流れてしまう(膨らんでしまう)艇は、モーターの「まわり足」が悪く、インを差されてしまいます。例えば、2マークの中継画面で、艇が右側に消えていく場合は「まわり足」が良く、下側に消えていく場合は悪いといえます。 なお、艇がターンでバタつき暴れているようなら、その艇は危険です。バタつくと転覆の危険性があるので、思い切ったターンが出来ません(周回展示で落水すると欠場になります)。 また、予選突破できないことが確定したなどで、モチベーションが落ちたような走り方をする選手がいる場合もあるので、その辺りの見極めにも使える可能性があります。 ※2周目バックストレッチの150mで、後述の「展示タイム」が計測されます。(参考)練習走行は要注意
数は多くないですが、本番レースの合間に練習走行に出てくる選手がいます。 これは、モーターやプロペラの整備・調整状況を確認しているのですが、大抵の選手は整備・調整は前日までに行い、その日の朝練で確認している事がほとんどです。 ですので、本番レースの合間に練習走行している選手は、自分が走るまでに残された時間は少ないにも関わらず、まだ整備・調整が十分でないとも言えるため、注意しましょう。展示タイムとは
それでは、次に展示タイムについて解説します。 まずは、下の図をご覧ください。
出典:ボートレース鳴門
①一周タイム
一周タイムは、読んで字のごとく、水面を1周した時のタイムになります。 これは、総合的な足の良さを表しているため、一周タイムのみで個々の足の評価を推測するのは難しいです。 なお、①一周タイムのみならず、次の②以下でもそうですが、先行艇の引き波の影響を受けない1号艇が、基本的に良いタイムを出しやすいです。
イッカー先生
そのため、2~6号艇で好タイムが出ていれば、足が良い証拠であり、注目しましょう。
②まわり足タイム
まわり足タイムは、1マークのターンの入口から出口のタイムになります(ハンドル切る前の動作からターンに入り、ターン後にハンドルを真っ直ぐにして艇を安定させ、スロットルを握りこんだところまで)。 これは、ターン回りを中心とした足の評価になります。 これが良いと、小さい旋回・ブレない艇の返しができていることになり、ターン時にアドバンテージがあることになります(インであれば逃げやすい、アウトであれば展開が突きやすい)。 逆にこれが悪いと、ターンが膨らんでしまったり、艇のバタつきが見られたりします。 まわり足タイムは、選手のターン技術に影響されるため、上手い選手は多少モーターが良くなくても技術力でそれなりのタイムを出してきます。 一方、新人選手やターンが上手くない選手などは、このタイムが悪く出やすい傾向があります。③直線タイム
直線タイムは、ターン後(出口)の立ち上がりからバックストレッチ(観客席から遠いほうの水面)の直線部分の中央までを計ったタイムです。 これは、ターン時に減速してしまったボートが、再びスピードを乗せていくまでの立ち上がりの良さを表しています。 この数値は④展示タイムと異なり、中間速を計っているといえますが、最近はここの足を重視する選手が多いと言います。 このタイムが良い場合、ターン後に他艇より優位に立てるというのはもちろんですが、出足から伸びまでの連動がスムーズであることも示しています。 特に初日などは、このタイムが良ければ、調子のいいエンジンであるといち早く察知することができるので、注目すべきデータです。④展示タイム
展示タイムは、バックストレッチの直線部分で、スタートラインの延長線上の位置から2マークまでの150mを計ったタイムです(③の直線タイムと似ていますが、区間が違います)。 ※2マーク側の距離などから、一部競艇場で定義が違う場合もありますが、全選手同じ条件であり、あまり気にする必要はありません これは、周回展示2周目の直線で一番スピードの乗った時点のタイムであり、モーターの「伸び足」の良さ(調子の良さ)を表しています(車で例えると、トップギアのスピード)。 伸び足は、競り合ったとき前に出られるかどうかに影響し、良ければ直線で追い上げて抜くことが可能です(逆に悪ければ、差を詰められてしまう原因になります)。 展示タイムの差が0.15秒であれば、向正面で1艇身の差ができることになります。特に3着争いは、このタイムの差で明暗が分かれることがあります。 展示タイムは、イン艇であれば、逃げ切れそうなのかどうかの判断に使えます(1号艇の展示タイムが一番良い場合、かなり信頼性が高くなります)。 アウト艇であれば、展示タイムが良いとスタート後のダッシュで伸びる可能性が高く、横並びから抜け出してイン艇を抑え、まくり・まくり差しで勝てる可能性が高まります。 6艇のうち1艇だけ展示タイムが良い場合、思い切ってその選手を1着で買うのもアリです。特にアウト艇はオッズが高くなりやすく、高配当の目があります(買い目は5-全-全や、6-全-全など)。おわりに
この記事では、展示航走(スタート展示・周回展示)、展示タイムから得られる情報の使い方について解説しました。
展示航走や展示タイムから、選手の技術・調子やモーターの良し悪し、ペラの調整が出来ているかまで、様々な情報が得られることが分かりますね。 直前情報を掲載するページなどで参照できるので、是非チェックしてみてください。 予想が難しいレースであっても、これらの情報を参考にすれば、自ずと軸とすべき選手が見えて、思わぬ高配当が得られたりすることも競艇の魅力です! 
イッカー先生
展示航走・展示タイムが良い感じであるのに、人気が低い選手がいれば、万舟券のチャンスとも言えます。しっかりと確認するようにしましょう!



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