全国の競艇場では、ファンに喜んでもらえるよう、様々な番組作りに取り組んでいます。
レースの中には、初心者にも分かりやすく当てやすい「企画レース」というレースが開催されていることがあります!
この記事では、企画レースについて解説したうえで、各競艇場の企画レース一覧、また予想のコツを紹介します!
企画レースとは
企画レースとは、「予想がしやすいように選手が配置されたレース」のことです(競艇は、競馬のように枠順を抽選で決めるのではなく、各競艇場の編成員が番組を作っています)。
例えば、1号艇にA1級の選手を配置するが、他の5艇は全てB級の選手、といった具合です。当然、1号艇が1着になる確率が非常に高くなり、当てやすいレースになります。いわば、主催者側のファンサービスと言えます。
企画レースは、全国24カ所の競艇場のうち、江戸川・常滑・尼崎を除く21カ所で開催されています。各競艇場では1日12回のレースが行われていますが、うち数回が企画レースになります。
各競艇場とも、様々な趣向を凝らした企画レースを開催しており、個性あるレース名が付いています。ただ、予想紙には明記されている場合とそうでない場合があるので、注意しましょう。
※なお、企画レースは一般戦とG3で行われています。G2以上はA級選手が主であり、4日間が予選・5日目が準優戦・6日目が決勝戦という日程が一般的であるため、企画レースは行われていません。
企画レースの種類分け
企画レースには、大きく分けて「進入固定レース」と「イン側に強い選手を持ってくるレース」の2種類があります。
進入固定レース
進入固定レースとは、「選手が必ず割り当てられた艇番のコースからスタートする」レースです。
最近では、このレースの存在意義は低下しています。待機行動(=ピットアウトしてから、スタート位置まで艇を持ってくる行動)のルールが厳しくなっており、いわゆる「前づけ」と呼ばれる強引にインを奪う戦法がやりにくく、枠なり進入が増えているためです。
ただ、「新人選手はどの艇番でも大外6コースに入る」「先輩に有利なコースを譲る」などの慣習は未だ残っているので、この辺りに存在意義があります(進入固定レースでは、新人選手でも1号艇であれば遠慮なくインからスタートできる)。
なお、進入固定レースは1号艇に有利です。
1号艇は位置的にインを取りやすい艇番ですが、どのコースからスタートするかは最終的に艇先をスタート方向に向けた瞬間に決まります。そのため、1号艇の選手は、インを確実に守るためには早目に1コースに入って艇先を前に向ける必要があります。
一方、艇先を前に向けたら、スロットルを握っていなくても前進してしまうため、あまりに早くインに入ってしまうと、助走距離が短くなって不利になります。
そのため、通常のレースでは、インの選手は(位置を守りつつ)なるだけ遅くコースに入って、助走距離を長くしようとします。
この点、インを他艇に奪われる心配がない進入固定レースは、1号艇は可能な限り遅くコースに進入し、助走距離を長く取ることができます。
インに強い選手を持ってくるレース
こちらは読んで字のごとく、「競艇で有利なインに、強い選手を配置する」レースになります。
三国・びわこ・丸亀・児島・宮島・徳山・下関などの1Rに組まれている企画レースに見られる通り、1号艇にA1選手、それ以外は全員B級選手、といった配置です。
詳細は後述しますが、よほどのことがない限り1号艇が勝つため、予想しやすいレースになります。
各競艇場の企画レース
それでは、各競艇場の企画レースを一覧でみてみましょう(2023年3月時点)。
桐生競艇場
- 1R:目玉レース(4号艇A級、他はB級)
- 6R:目玉レース(1号艇A級、他はB級)
- 8R:いちごレース(1・5号艇A級、他はB級)
戸田競艇場
- 2R:ウインウイン2(4号艇A級、他はB級)
- 7R:ウインウイン7(1号艇A級、他はB級)
平和島競艇場
- 5R:Afternoon Pleasant Race(A級を内側に配置)
多摩川競艇場
- 1R:まつりだone(原則A級2名とB級4名)
- 9R:ターゲット9(原則1号艇A級、2~6号艇にB級)
浜名湖競艇場
- 4R:ランチタイム戦(1号艇A級、他B級)
- 9R:進入固定レース
蒲郡競艇場
- 7R:進入固定レース
津競艇場
- 1R:ツッキーレース(1号艇に主力A級)
- 5R:5ールドレース(1号艇に主力A級)
三国競艇場
- 1R:みくにあさイチ(1号艇A級、残りB級)
- 2R:みくにあさガチ(1・2号艇A級、残りB級)
- 3R:みくにあさズバ(1・3号艇A級、残りB級)
- 4R:みくにあさ特賞(1~3号艇A級、残りB級)
びわこ競艇場
- 1R:びわこ幕開け戦(1号艇A級、他はB級)
- 5R:ゴゴイチビワコ(1号艇主力、2号艇A級、他B級4名)
- 6R:スゴ6!ビワコ(1・3・4号艇にA級・他B級3名)
住之江競艇場
- 5R:住之江ファイブ(1号艇A1選手の進入固定レース)
鳴門競艇場
- 1R:とるならなると(1号艇A級)
- 3R:どきどきなると(1号艇A級・2~6号艇A級orB級)
- 4R:とにかくなると(1号艇A級・2~6号艇A級orB級)
丸亀競艇場
- 1R:WELCOME! BLUE NIGHTER オープニングレース(1号艇に主力選手(主にA級)、2~6号艇にB級)
- 5R:5!GO!レース(1・3・4号艇に(原則として)主力選手)
- 8R:まるポでGO!!進入固定レース(1・2・4号艇に主力選手、3・5・6号艇にB級)
児島競艇場
- 1R:朝とくガァ~コ戦(1号艇A級、2~6号艇にB級)
- 6R:昼とくクラリス戦(1・2・3号艇A級、4・5・6号艇B級)
- 9R:進入固定レース
宮島競艇場
- 1R:ファーストバトル(1号艇A級、他B級)
- 4R:ランチタイム(1号艇、2~4号艇のいずれかにA級)
- 9R:ティータイム 進入固定レース
徳山競艇場
- 1R:モーニング特賞(1号艇A級,他はB級)
- 3R:プライド予選(1号艇A級)
- 4R:モーニング予選(1・2号艇A級、他はB級)
下関競艇場
- 1R:シーモ戦(1号艇A級、他B級)
- 5R:進入固定レース(1・4号艇にA級、他B級)
- 7R:ふく~る戦(1号艇A級)
若松競艇場
- 5R:ゴレースジャー(1・2・4号艇A級,他B級)
- 8R:エイトビート(原則1号艇A級)
芦屋競艇場
- 1R:サンライズV戦(1号艇A級、2~6号艇B級)
- 2R:サンライズW戦(1・4号艇A級、2・3・5・6号艇B級)
- 3R:サンライズX戦(1・3・5号艇A級、2・4・6号艇B級)
- 4R:サンライズY戦(1号艇A級)
- 5R:サンライズZ戦(1・2号艇A級)
- 7R:予選・一般戦 進入固定レース
- 8R:昼どき戦(1号艇A級)
福岡競艇場
- 8R:進入固定レース
唐津競艇場
- 1R:朝1戦(1号艇A級)
- 2R:モー2ング戦(1・2号艇に主力選手)
- 3R:3ライズ戦(1・3号艇に主力選手)
- 4R:おは4戦(A級3人/B級3人)
大村競艇場
- 5R:進入固定レース(原則1号艇A級)
- 6R:夜ガチ戦(原則1号艇A級)
- 7R:夜ドキ戦(原則1号艇A級)
企画レースの買い方
それでは、企画レースの買い方について考えていきます。
まずは、進入固定レースについて。
1号艇が有利と書きましたが、実は気を付けなければならないポイントがあります。
通常1コースは、2マークから続くブイ列の先端あたり(スタートラインまで120m~130m)からスタートすることが多いですが、進入固定レースでは2マークを少し過ぎたあたり(同・140m前後)からスタートできます。
つまり、通常より10mほど助走距離が長くなり、その分モーターを回すことができるため、より早いスタートダッシュが可能です。
しかし、10m違うと感覚が普段と変わってしまい、スタートを失敗してしまう場合があります。これは、普段あまりインに入らない(インに慣れていない)選手にみられます。
進入固定レースが1号艇に有利なのは、インに慣れた選手の場合。慣れていない選手にとっては裏目に出てしまうことがあるので、注意しましょう。
なお、インの勝率は、風向きやモーター勝率・設定(出足型か伸び型か)でも左右されますので、単純に「進入固定レース=1号艇が圧倒的有利」とは言えません。
対して、「インに強い選手を持ってくるレース」は、非常に予想がしやすいです。
しかし、企画レースは低配当であり、このようなレースは1着だけでなく(最低限)2着も当てないと、「当たり」にはなりません。
単純に、2連単で1号艇から残りの5艇に流せば、相当な確率で当たりとなりますが、これでは5倍以上の払戻金にならないと利益が出ません。
1着は決まりというレースでは、当たっても払戻金は少ないことが多いので、実際5点は買えないでしょう。低配当ぶりは、1号艇の選手が強ければ強いほどひどくなります。
下手をすると、5点中4点は「当たっても損」ということになりかねません。利益を出すためには、どうしても2着を絞らざるを得ないことになります。
それでも、普通のレースよりは選択肢が相当絞られるので、買いやすいレースではあります。
こういったレースをどう買うかは、買う側の考え方次第と言えます。買う側の考え方を4パターンほどに分けて、それぞれ見てみましょう。
①とにかく大金を手にいれたい!最低10万円以上は勝ちたいタイプ
こういった方は「本命党」と呼ばれ、本命に大金を賭けるタイプです。
インが強い企画レースは大好物であり、例えば1-2が2連単で1.5倍であっても50万円賭けたりします。
50万円も賭けると、オッズが下がって1.4倍になるかもしれませんが、それでも当たれば70万円となり、一挙に20万円の儲けがでます。
しかし、この例の場合、20万円の儲けのために50万円を危険にさらしています。これはちょっと考えるとリスクが大きすぎると思いませんか?
こういった「本命大張り」をする方は、最終的に大損をすることがほとんどです。
一度、大きく勝つ経験をしてしまうと止まらないタイプです。ギャンブルで破滅する方のほとんどがこのタイプであり、当てはまる方は要注意です。
②配当が安くなりそうなレースは手を出さないタイプ
いわゆる「穴党」と呼ばれるタイプです。穴党の方は、荒れそうなレースで高配当になる組み合わせだけを買います。
そういった方にとっては、企画レースのようなアクシデントが起きなければ1着は決まり、という低配当レースは興味の対象外です。
「見るレース」といって、買わないか、買っても100円のみです(何も買わないと、見てて面白くないため、100円だけ買って見ている)。よく朝1の企画レースは「コーヒー代稼ぎ」などと言います。
穴党タイプの方は、レースごとに買う・買わないが明確で、言い換えると「我慢が出来る」ということでもあります。「当てるため、我慢することもまた楽しみ」だそうです。
③大張りが出た時だけ手を出すタイプ
競艇場でオッズを見ていると、時々「あれっ?」ということが起こります。それまで5倍だったオッズが、突然2.5倍に落ちたりするのです。
これは誰かが、その組み合わせに大金を投じたことを意味しています。そして経験上、こういった大張りは「外れるもの」です。
例えは悪いかもしれませんが、丁半博打で勝つコツは、「ついていない人の逆に張る」ことです。ですので、「大張りをした人」が買った舟券を外して買うのです。
①で書いた通り、本命に大金を張る人は破滅することがほとんどです。これを逆手に取り、その逆を買うわけです。
このやり方は案外効率的な買い方なので、覚えて置いて良いと思われます。穴党であっても「大張り」が出ると出動する方は案外に多いです。これは長年、競艇をやってきた人間ならではのやり方と言えるでしょう。
④1レースに使う金額を最初から決めているタイプ
最もお勧めなのが、このタイプです。「今日1日、競艇場で競艇を楽むこと」を最優先に考えているような人です。
企画レースは当てやすいですが、他レースと同様、熱くならずに冷静に買いを入れられるようにしましょう。
俺は1レース、500円しか買わない。食事代・電車代を入れて、予算は家を出る時に財布に入れた1万円札1枚のみ!たまに勝ったら帰りに飲むか、女房にお土産を買って帰ることにしてる!!
・・・こんなタイプは非常に健全で、競艇を長く楽しんでいる人のほとんどがこのタイプです。
主催者側の意図
競艇では、主催者側が総売上の25%を天引きして配当金が計算されます。
そのため、主催者側は配当金に関わらず、売上が伸びれば伸びるほど儲かる仕組みになっています。だから、こういった企画レースのような当てやすいレースを組み、売上を伸ばそうとしている訳ですね。
この企画レースをいち早く取り入れた大村競艇場では、その人気から入場者が増え、売り上げも伸びたそうです。
せっかく主催者側が用意してくれた「当てやすいレース」なのですから、黙って見ているのも面白くありません。
ですが、当てやすいからといって賭けすぎは禁物です。上で書いた通り、くれぐれも「楽しむ」ことを主眼において、いつも通りの節度をもって、冷静に判断しましょう。