
大晦日にクイーンズクライマックスが終わり、年が明けると、前年度の「優秀選手」が発表されます。
これは、1年間戦った結果、優勝な成績を残した選手を表彰する制度で、もっとも誉れ高いのが「最優秀選手」(MVP)に選出されることです!

この記事では、競艇の「優秀選手」の表彰制度、また歴代の「最優秀選手」(MVP)について、詳しく解説してきます!
「優秀選手」の発表
お正月が明けるとすぐ、日本モーターボート競走会は、「優秀選手選考委員会」という会議を開催し、前年度の「優秀選手」を決定します。
毎年、下のようなプレスリリースが出されています:
- 「令和6年優秀選手」各表彰者を決定(2025/01/09)
- 「令和5年優秀選手」各表彰者を決定(2024/01/05)
- 「令和4年優秀選手」各表彰者を決定(2023/01/06)
この「優秀選手」の表彰には8種類のタイトルがあり、プレスリリースには選考理由についても記載されています。
- 最優秀選手(MVP)
- 最優秀新人選手
- 最多賞金獲得選手
- 最高勝率選手
- 最多勝利選手
- 優秀女子選手
- 記者大賞
- 特別賞
それぞれ、以下に該当する選手が選出されます。
「最優秀選手」(MVP):年間を通じて最も優秀な成績を記録した選手。
「最優秀新人選手」:新規に登録された日の属する年の翌年から3年以内の新人選手の中で、最も優秀な成績を記録した選手。
「最多賞金獲得選手」「最高勝率選手」「最多勝利選手」(昔は「最多優勝選手」):それぞれの指標でトップだった選手(最多勝利は1着回数)。
「優秀女子選手」:女子選手で最も優秀な成績を記録した選手。
「記者大賞」:「全国ボートレース記者クラブ会」に加入している記者による投票で、最高得点を獲得した選手。
「特別賞」:年間成績が顕著で最優秀選手に準ずる活躍をした選手、長きにわたりボートレース業界に貢献した選手など。

一番最後の「特別賞」については、「該当者なし」になる年度もよくあります。
「最優秀選手」(MVP)について
この表彰の中で、最も栄えある賞は、「最優秀選手」(MVP)になります。
「優秀選手」の表彰制度は1976年に開始しましたが、初の最優秀選手(MVP)に選ばれたのは、モンスターとの異名を取った野中和夫選手でした。

この年は野中選手がタイトルを独占した年で、表彰台が1人になってしまうのを避けるため、「敢闘選手」という賞が作られたとか!?
MVPは、「最多賞金獲得」選手が選ばれることがほとんどであり、12月のグランプリを制した選手が選ばれることが圧倒的に多いです。
ただ、過去四半世紀に例外が2度だけありました。
例外①:2000年のMVP
2000年のMVPには、西島義則選手が選ばれました。
この年は「西島選手の年」であり、SGを3回優勝、G1を2回優勝と、すさまじい快進撃。賞金ランキングでも、ずっとトップを走っていました。
しかし、最後の最後に市川哲也選手にグランプリ優勝を奪われてしまい、僅差で賞金額が2位になってしまったのです!
ただ、市川選手はこの年、SGを1回優勝(グランプリのみ)、G1を1回優勝という成績でした。
賞金額は2位でも、年間を通じた活躍を考慮して、西島選手がMVPに選ばれたようですね。
例外②:2022年のMVP
2度目の例外は最近で、2022年のMVPである馬場貴也選手です。
この年の「最多賞金獲得選手」は白井英治選手で、金額は187,792,457円でした。
ただ、2位の馬場選手は187,346,000円だったため、その賞金差はたった45万円ほど!
年間成績を比較すると、馬場選手はSGを1回(ダービー)、G1を2回優勝。
対する白井選手は、SGを1回(グランプリ)、G1を1回優勝という成績でした。
そのため、MVPが馬場選手に決まったのは、G1優勝が1回だけ多かったから・・・?ということになりました。
MVPは名誉のみ?
2000年のMVPには誰でも納得できるものですが、2022年の結果については首をかしげる方もいらっしゃるでしょう。
賞金額が僅差の場合、SG・G1の優勝回数が多い選手がMVPになることもある、ということのようですが・・・
これは選考委員会が独自に決めることなので、推測でしかありません。賞金差がいくらなら僅差なのかという基準も不明です。
ただ、MVPに選ばれなかったからといって、選手側から異論や文句はあまりないようです。
というのも、MVPは「表彰楯をもらえるだけ」で、名誉賞だからです。
MVP候補になるような選手は、既に多額の賞金を稼いでおり、各グレードレースへの出場権も獲得していることから、あま多額ドバンテージを与える必要がない(?)ということですかね・・・
過去に年間表彰された選手
上で書いた通り、表彰制度自体は1976年から行われていますが、ここでは1997年以降の「優秀選手」についてご紹介します。
1997年~2009年

MVPにはなんと、松井繫選手が5回も出てきます。
松井選手がMVPを獲得した年は最多賞金も獲得した年なので、この時期にガンガン稼ぎまくっていたことが分かります。
また、現在でもSG常連である田中信一郎選手・辻栄蔵選手らの名前も見えます。
他の賞をみると、現・選手会長の瓜生正義選手が1998年に最優秀新人を取っており、この頃はまだ若造だった事が分かります。
瓜生選手会長はまだまだ現役でSGにも出てきますので、選手寿命の長さに驚きます。
2006年には、後に一時代を築く峰竜太選手が新人賞を取っています。
2010年~2024年
これが2010年以降になると、以下のようになります。

2010年代の前半には、松井選手に代わり、池田浩二選手と山崎智也選手が台頭します。
瓜生選手会長も、隙間を縫うように2回もMVPを取っており、最高勝率・最多勝利などにも、ちょこちょこと顔を出している点です(選手会長は2022年から)。

2010年代の後半には、峰竜太選手の時代となります。
2015年~2024年まで、最高勝率は峰竜太選手が独占しています(2022年に池田選手が一度阻んだだけで、他の年は全て峰選手)。
しかし、勝率と賞金は完全には連動しないもの。
驚異的な勝率を残しても、SG・G1で優勝しないと賞金は大きく増えず、さらに最多賞金を取るにはグランプリ優勝がほぼ必須、といって良いでしょう。
峰選手はこの圧倒的な力を見せた期間中、MVP獲得は2度に止まっています(それでも凄いのですが)。
2020年代に入ってからは、年ごとにMVPは様々な選手が獲得しており、2025年度は誰になるか注目されます。


