「マスターズチャンピオン」は、ベテラン選手のみで争われるレースで、プレミアムG1(PG1)の1つです!
2024年は、4月16日(火)〜4月21日(日)に「ボートレース鳴門」で開催されます。
この記事では、マスターズチャンピオンのレース概要や過去の優勝者、2024年の開催の見どころなどについてご紹介します!
マスターズチャンピオンとは
マスターズチャンピオンは、別名「競艇名人戦」と言いますが、かつては「名人戦競走」と呼ばれていました。
2014年に「マスターズチャンピオン」という通称になり、格付けもPG1になりました。
このレースの一番の特徴は「一定年齢以上でないと出場できない」という点。
「一定年齢以上」は、当初は50歳以上でしたが、現在では「当年の4月1日時点で45歳以上」となっています。
競艇選手は19歳~23歳くらいでデビューする人が多いので、このレースの出場選手は選手経験20年以上という選手がほとんどということになりますね!
この年齢要件に加えて、勝率上位の選手だけが出場することができるため、まさにベテラン同士のいぶし銀の走り、熟練の技を競い合う大会と言って良いでしょう。
出場者は52名で、出場資格は、前年優勝者のほか、当年の4月1日時点で満45歳以上のマスターズリーグ優勝者、前年2月1日~当年1月31日の間に140走以上した選手の勝率上位者、さらに施行者希望選手(2名)。
そのため、B1級であっても上位勝率であれば出場可能です。また性別も関係ないので、女性レーサーでも条件を満たせば出場できます(過去、鵜飼菜穂子選手、日高逸子選手などが出場)。
優勝賞金は1,300万円(2024年度から)と高額ですので、ベテラン選手にとっては格好の目標となっているレースです。
長年の競艇ファンにとっては、往年の名選手の名前がずらりと並びますので、非常に人気の高いレースでもあります。
2000年の第1回「名人戦競走」では、ファンファーレは昔のものを使用、以前行われていた「選手コール」も実施されるなど、ノスタルジックな雰囲気を高める演出がされ、ファンを喜ばせました。
競艇選手は選手寿命が長い
競艇選手は、他のプロスポーツ選手と比べて選手寿命が長いと言われています。40代・50代で「まだまだバリバリ現役」という選手が沢山います。
競艇における最年長選手は高塚清一選手ですが、2024年3月になんと77歳になりました(登録期はなんと20期!)。
ちなみに、競艇選手は、3年に1度のライセンス更新のとき、健康診断を受けることが義務づけられています。そこで「裸眼視力が両眼とも0.5以上」「血圧が150/90以下」などの基準をクリアできないと、強制的に引退させられてしまいます。
メガネの競艇選手がいないのは、選手は全員この健康診断をクリアしているからなのです。しかしそう簡単なことではなく、加齢に伴い基準がクリアできなくなり、引退する選手は多いと言います。
45歳以上で選手を続けられており、かつ高い勝率を維持している、そんな特別なベテラン選手だけを集めて行われるのが、このマスターズチャンピオンなのです!
過去5年の開催
マスターズチャンピオンの過去5年の開催レース場と優勝者は以下の通りです。
開催回 | 開催レース場 | 優勝者 | (年齢) |
2023年(第24回) | ボートレース若松 | 井口佳典 | 45 |
2022年(第23回) | ボートレース三国 | 上平真二 | 48 |
2021年(第22回) | ボートレース下関 | 原田幸哉 | 45 |
2020年(第21回) | ボートレース津 | 村田修次 | 46 |
2019年(第20回) | ボートレース宮島 | 今垣光太郎 | 49 |
マスターズチャンピオンは45歳以上という年齢制限がありますが、過去5年の結果を見てみると、優勝者は40代の選手ばかりです。
出場条件を満たす選手でも、やはり勝率上位者は40代が多く、必然的に40代の選手の母数が多くなっています。
やはり人間は加齢により身体能力が落ちていくため、同程度の力量の選手ならやはり年齢が若い方が有利です。40代と、50代~60代の選手では、やはり身体能力が違ってきます。
また別の要因として、年齢を重ねると代謝が衰えるため、段々と減量して体重を調整することが難しくなります。
かのモンスター・野中和夫選手は65歳まで現役でしたが、「齢を重ねて減量ができなくなった」と引退。なお野中氏は空手が全国大会レベルの腕前であり、若い頃から人一倍身体を鍛えていました。
出場資格に、施行者側が呼びたい選手を2名「施行者希望枠」として指名できますが、なかなか優勝戦にまでは進めていないようです。
2023年(第24回)の優勝は井口佳典選手
第24回マスターズチャンピオンの優勝者は、井口佳典選手でした。
モーター抽選で2連対率が一番高い40号機を引き当て、得点率トップで予選通過。迎えた優勝戦のメンバーは下記でした。
- 井口佳典
- 浜野谷憲吾
- 中澤和志
- 魚谷智之
- 瓜生正義
- 今垣光太郎
1号艇から出走した井口選手ですが、コンマ16のトップスタートを決め、1周2マークを先取りしてそのままイン逃げで勝利!(結果は3連単で1-5-2、2,310円の11番人気)
井口選手は、2023年4月1日で満45歳であり、本大会は初出場。
ちなみに、1999年にデビューの「銀河系軍団」と呼ばれる85期の出身です(山本隆幸選手・田村隆信選手なども2023年のマスターズチャンピオンから初出場)。
井口選手はゴールデンレーサーの一人ですが、「名人の称号なんてめっそうもない!ド新人ですから!!」とコメントしていました。
2024年(第25回)の見どころ・注目点について!
2024年は鳴門競艇場で開催されますが、ここは西日本でイン勝率が最も低い競艇場。
小鳴門海峡上の海水面で天候変化の影響を受けやすく、潮の流れが速く、うねりも出ることなどから、江戸川・平和島と並ぶ難易度の高い水面として知られています。
難易度の高い水面では、選手の得意・不得意がはっきり出るため、鳴門での勝率がまず一番の注目ポイントとなります。
鳴門勝率
出場選手のうち、鳴門での通算勝率の高い選手のベスト15は下記の通りです。
瓜生正義選手会長が7.80でトップ、松井繁選手が7.63で2位です。
ただ両選手とも、なぜか本開催では優勝したことがありません。PG1につきメンバーもSGより軽いはずであり、開催自体と相性が悪いのかもしれません。
※競艇選手には、不思議なことに「この開催は取れない」という「相性が悪いタイトル」というものがあり、両選手にとってそれに当たるのかもしれません。
ただ、両選手とも優勝経験が無いだけで勝率自体は7点台と高く、予選・準優戦では狙う価値が十分にあります。
難易度の高い競艇場は「強力な内弁慶」がいることが多く、鳴門の場合、地元で勝率4位の田村隆信選手です。全国勝率は6点台ですが、鳴門では7.4という高勝率。地元ファンは田村選手のレースを狙い目にしていることでしょう。
過去の優勝組では、一昨年の覇者・上平真二選手が7.18で14位。ただ、センターやアウトコースからの差し・まくりが決まりやすい鳴門では、可能性が高いとは言えません。
なお、昨年の覇者・井口佳典選手は鳴門が苦手らしく、6.82という勝率で連覇は厳しそうです。
また、上記メンバーの影に隠れていますが、3位の魚谷智之選手の鳴門勝率7.46は要注目です。地元でも練習場でもありませんが、なぜか鳴門と相性が良いようで、チェックしておく必要があります。
その他、白井英二・赤岩善夫・吉川元浩などのメンツも出場しますが、鳴門はSGはあまり開催されないため、SG常連メンバーも慣れていない可能性があります。
この3選手も、鳴門勝率は6点台。全国勝率の高さで買ってはいけない競艇場と言えるでしょう。
歴代優勝者を見ると、SG常連クラスの選手以外に、やや聞きなれない選手がちらほら混じっています。
マスターズチャンピオンは、SG常連クラスだけを見るのではなく、むしろ、聞きなれない選手で調子のよさそうな選手を狙った方が美味しい結果を得られる可能性が高い開催だと言えます。
勝負駆けの選手
競艇選手の級別審査対象期間の後期は、11月1日~4月30日です。
そのため、本開催が後期の審査期間の最終レースとなる選手もおり、出場選手の中で勝負駆けをしてきそうな選手をチェックしておく必要があります。
級のかかった勝負駆けは、準優狙いの勝負駆けと違い、年収面で大きな差となるため、真剣度が違います。
まずは、A2級選手の現在の勝率上位を見て見ましょう。
5位の重野哲之選手までは、A1級昇格は確実でしょう。A1級かA2級かの境目は、6.16~6.23あたりになる見込みです。
では、マスターズチャンピオン出場選手の中で、全国勝率6.2以下の選手をみてみましょう。
ボーダーラインにいるのが、岩崎芳美・石川信二・西島義則選手の3選手です。
特に岩崎選手は、この開催の結果でA1かA2か決まるため、勝負駆けになります(鳴門の勝率が全国勝率より高いのは、地元で練習場だからである模様)。
岩崎選手は、3着以内だと勝率が上がり、4着以下だと勝率を下げることになります(PG1は一般戦より1点増しで、3着は7点、4着は5点)。
3着以内がこの開催の絶対目標だと思われ、岩崎選手の出るレースでは3着以内で買うのが面白いかもしれません。
石川・西島の両選手は、鳴門勝率は7点台で心配はいらなさそうですが、下位モーターを引き当てる、事故にあうなどで、5~6着続きだと危ういという点には留意しましょう。
なお、西島選手は「前づけ」の常連ですが、鳴門はインが弱い水面。今開催では、前づけは状況次第になりそうです。
モーターの状況
最後に、鳴門のモーターをみてみましょう。
鳴門のモーターは3開催前に全交換されたため、成績は過去3回分しかありません。
25号機・22号機・14号機が2回の優出があり、良いモーターと言えるでしょう。まだ出走回数は多くないですが、それなりに偏りがあるようです。
ちなみに、下位モーターはこちらです。
65号機・81号機は、まだ1回も4着以内に入っていません。まだ未勝利のモーターも結構あることが分かると思います。
勝率が3点台ということは5~6着しか取れていないということであり、単に引き当てた選手の技量不足・コース不利や悪天候などが原因の可能性もあります。
出来の悪いモーターなのか、単に運が悪いだけなのかは、今後を見てみないと分かりません。しかし、今回の開催でこれらの下位機を引いた選手は、一応チェックしておきましょう。
現在の鳴門のモーターは、おろしたてと言える状態ですが、相当に固体差が激しいようです。本来、新品モーターは同じパワーを発揮すべきであり、これだけ固体差が出ている例は珍しいと言えるでしょう。
SG常連クラスの選手であれば、モーター整備は慣れているはずですが、おろしたてのモーターでは整備余地もそれほどないと思われます。
この開催、どの選手がどのモーターを引くかは重要な要素となりそうですので、モーター情報にも注意しておきましょう!