競艇には、各競艇場の「周年記念競走」と呼ばれるG1レースがあります。
2023年3月は、3/25(土)~3/30(木)に三国競艇場で「北陸艇王決戦」が、3/26(日)~3/31(金)に大村競艇場で「海の王者決定戦」が、それぞれ開催されます!

この記事では、周年記念競走について解説したあと、2023年3月の「北陸艇王決戦」と「海の王者決定戦」の注目点について見ていきます!
周年記念競走とは
競艇の周年記念競走とは、各競艇場の開設を記念して、毎年1回行われるレースになります。
レースの格としてはSG・PG1に次ぐG1であり、全開催で優勝賞金は1,000万円(G1最高額)。
年末のグランプリに向けた賞金ランキング争いのため、選手としては是非とも勝ちたいレースです!
各競艇場にとっても一大イベントであり、その年にSG・PG1が予定されていない競艇場では、1年で最も大きなレースになることもあります。
周年記念はSG級のレーサーが多く斡旋されますが、その競艇場が地元の強豪選手は必ず斡旋されるため、地元ファンにとっては見所が多い、面白い組み合わせが楽しめます。
2023年に開催される各競艇場の周年記念競走のスケジュールはこの通りです!
なお、2023年には、下関(競帝王決定戦)・住之江(太閤賞)・尼崎(尼崎センプルカップ)・浜名湖(浜名湖賞)の4場の周年記念はありません。
一方、三国(北陸艇王決戦)・多摩川(ウェイキーカップ)・若松(全日本覇者決定戦)・大村(海の王者決定戦)・芦屋(全日本王座決定戦)の5場の周年記念は、2回開催される予定です。
これは何故かというと、各競艇場の1年は1/1~12/31でなく4/1~翌3/31であるためです(日本の多くの企業と同じ3月締め)。
下関・住之江・尼崎・浜名湖の4場の周年記念は、2024/1/1~3/31に開催される予定なので、2023年中には行われないというわけです(逆に、2023年に2回開催される予定の周年記念は、1回目が1/1~3/31、2回目が4/1~になっています)。
周年記念は「各競艇場の開設日」に実施されると思いがちですが、その日に他の競艇場でSGやPG1が開催されていると有力選手が斡旋されませんし、売上も多くは見込めません。
そのため、実際は各競艇場で都合の良い日程で開催されているので、このようになります。
2023年3月の「北陸艇王決戦」と「海の王者決定戦」の注目点
それでは、2023年3月に開催される「北陸艇王決戦」(三国競艇場)と、「海の王者決定戦」(大村)について、注目点を解説していきたいと思います!
北陸艇王決戦
このレースは、三国競艇場の周年記念であり、3月は2022年分として開催されます(2023年分は9月に開催予定)。
三国競艇場の特徴は「淡水面であること」。しかも水質が硬く、選手の間では乗りづらいという声が多く聞かれます。
元々、淡水面の競艇場は海水面の競艇場より浮力が弱く、艇と水面との摩擦力が強く働いて加速がもたつくという特徴があります。それに加え、水質が硬いとターンする時に滑り気味になってしまい、外へ膨らんでしまうことが多いのです。
つまり、「直線ではスピードが出ない」「ターンで膨らんでしまう」という乗りづらい水面になります。もちろん、走る選手はみんな同条件ですが、どちらかというとイン勢、特に1号艇にとって、より強くマイナスに働きます。
実際、三国では1号艇が1マークで外に膨らみ、2号艇・3号艇・ダッシュ勢が内を差して勝つ、という展開が目立ちます。三国競艇場の1号艇勝率は全国平均を下回っており、1号艇だからといっても素直に信頼できない競艇場です。
こういったクセのある競艇場は、基本的に「地元選手が有利」です。普段から三国を練習場としている選手は、どう走れば良いかを心得ているからです。周年記念ではその競艇場が地元の強豪選手は必ず斡旋されるので、もちろん最も狙い目となるでしょう。
今回の出場メンバー52人の中で、三国での勝率が高い順に並べたのが下表です。
地元・福井支部の大御所、今垣光太郎選手がダントツで1位です。ただ一人8点台の勝率であり、全国勝率と比較しても0.71も高く、まさに「三国の帝王」。年齢は50を超えていますが、2023年の三国の初レースでは予選から優勝戦まで全て1着の完全優勝を成し遂げています。
驚くべきは、2位に大阪の太田和美選手、3位に峰竜太選手が入ってきており、三国の勝率で地元No.2である中島考平選手を上回っていることです。
太田選手は住之江が練習場ですが、住之江の水質は日本一硬いと言われるほどで、硬い水面の三国でも問題なくこなせるからと思われます。
峰選手は唐津ですが、淡水であったり、少し海水が混じって「汽水」と呼ばれる混合状態になったりするため、水質に合わせて乗りこなす術を身に付けているものと思われます。
6位・7位には、埼玉支部の黒井達矢選手と桐生順平選手が入っていますが、2人とも練習場の戸田で淡水面での乗りこなし方を心得ていると考えられます。東京支部の3人も、日本一の難水面であり淡水・汽水である江戸川で鍛えられていると見てよさそうです。
福井のNo.3である萩原秀人選手が8位に入っていますが、優勝候補はこの第8位くらいまでと見て良さそうです。
なお、9位以下で注目したいのが、最も登録番号が若い16位の関浩哉選手。関選手のグレード別の勝率をまとめてみると、以下になります。
一番多く出走している一般戦の勝率は6.02である一方、G1では6.57・SGでは6.91と、グレードが高いレースの方が勝率が高くなっています。先日のクラシックでも準決勝まで進みました。
三国の勝率も6.77と高く、三国は得意な関選手。負けずぎらいで有名で、相手が強いほど燃えるタイプのようです。番狂わせを起こすとしたら、関選手が最も有力と考えられそうです。
海の王者決定戦
このレースは、大村競艇場の周年記念であり、3月は2022年分として開催されます(2023年分は11月に開催予定)。
大村競艇場の特徴は、「とにかくインが強い」の一言に尽きます。1号艇の勝率は8.45、一着率は64%で、全競艇場の中で芦屋競艇場に次ぐ高い数値を誇ります。
主催者である大村競艇場も「大村のインで勝負」と宣伝しており、インの強さを前面に打ち出しています。有力選手をインに入れるなど、本命サイド中心の番組編成をしているため、予想がしやすい競艇場です。
そのため、大村での予想には、「現時点で勢いのある有力選手」をよく知っておく必要があります。
勢いのある有力選手の基準として、分かりやすいのは賞金ランキングです(勝率も選手の強さを計る目安ではありますが、選手はより多くの賞金を獲得するためにレースをしています)。
今回の「海の王者決定戦」はSGのような豪華メンバーですが、参加選手52名の中から賞金ランキング60位以内に入っている選手を抜き出してみました(2023/3/17時点)。
そうそうたる名前が並びますが、2023年はまだ3月であり、これから順位は入れ替わっていくことでしょう。ですが、「現時点で勢いのある有力選手」は、この面々と言えます。
これらの選手が1号艇に割り当てられているレースは、素直に1号艇から買えば良いと思われます。
問題は2着ですが、大村競艇場はインが強力な分アウトが弱いので、単純に2号艇か3号艇を買うというのが最もオーソドックスで間違いのない買い方です。
もちろん、アウト勢が全くない訳ではありません。しかし、大村競艇場では「アウトは押さえ」に徹した方が、良い結果を得られることが多いのです。
なお、上の表を見ても、勝率と賞金ランキングは正比例しているわけではないことが分かります。例えば、羽野直也選手は8点台という凄い勝率ですが、賞金額では勝率7.56の松井繁選手に差を付けられています。
予選・準優戦で勝率を稼いでも、賞金が高い優勝戦で負けたら賞金ランキングは高くなりません。予選は「突破できる点数を取れば良い」、準優戦は「2着以内に入れば良い」わけで、最も賞金が高い優勝戦で1着を取ることが重要になります。
勝率は確かに選手の実力を表す指標ですが、結局は「優勝戦で勝てるかどうか」が「賞金を稼げるか」を決めることが分かります。
大村で勝つためには「現時点で勢いのある有力選手」をしっかり理解し、その選手がインに来た時に買うことが重要です。賞金ランキング上位の選手のうち、有名選手は問題ないでしょうが、そうでない選手の場合、見落としのないよう注意してください。

周年記念はG1であり、地元の強豪を含む有力選手が多く出場するため、誰が勝つかを予想するのは難しい面もあります。予想サイトの無料予想なども上手く活用しましょう。