競艇のレースで、「ボートレースレディースvsルーキーズバトル」という、一風変わった開催が行われているのをご存じでしょうか。
このレースは、まるで紅白歌合戦のように、紅組(レディース)と白組(男子ルーキー)に分かれて合計得点を競います!
年に2回ほど開催されており、次回(第11回)は2023/5/5~5/10に浜名湖競艇場で開催されます(第10回は2023/1に芦屋競艇場で開催されました)。

この記事では、ボートレースレディースvsルーキーズバトルの仕組みや特徴について解説していきます!
レース概要
このレースは名前の通り、レディースの選手24人と、男子のルーキー選手24人で争われるレースです。
紅組(レディース)と白組(男子ルーキー)に分かれて、「団体戦対象レース」における点数合計で紅白どちらが勝つかという要素があり、普通のレースとは異なります。
「団体戦対象レース」は女子3名・男子3名で戦い、得減点の着順毎に決められたポイントが付き、合計点の多い側に「団体ポイント」が付きます。1節間で「団体ポイント」の多い側が勝ちです。
参加選手は、男子はデビュー6年未満のルーキーのみ。レディースは年齢無制限なのでベテランも登場しますが、デビューしたてのB2選手も登場してきます。
扱いは「一般戦」であり、選手育成も目的の開催です。
選手にとってはありがたい開催!?
この開催では「レディースだけの予選得点率」「男子ルーキーだけの予選得点率」が設けられています。
準優戦は5日目の11R・12Rに行われ、それぞれ男女の得点率上位6名が走ります(同性で走るため、準優戦は「団体ポイント」の対象外)。そして、この準優戦の1着~3着の各3名ずつの6名が、最終日の優勝戦に進出することになります。
ちなみに、準優戦4~6着の各3名ずつの6名は「特別選抜A戦」に、準優戦に出られなかったレーサーのうち男女の得点率上位の各3名ずつ6名は「特別選抜B戦」に、それぞれ出ることができます。
つまり、男女別の得点率で上位9位以内に入れれば「特別選抜B戦」以上に出場できるので、男女とも出場選手は24人であることを考えると、選手にとっては良いチャンスと言えそうです。
さらに、最終的に紅組・白組で点数合計が多い方が勝ちとなり、勝った方の選手全員に一律10万円の賞金が出ますので、これも嬉しいに違いありません。
ただ、開催期間中にフライング・出遅れなどがあると賞金は出ないため、普段よりスタートに注意が必要になるという面もあります。
なお、紅組・白組のどちらが勝つかのファン投票などはありません。
過去のレース結果
この「ボートレースレディースvsルーキーズバトル」はこれまでに10回開催されており、紅組と白組のそれぞれ5勝ずつとなっています。
開催回 | 開催レース場 | 優勝者 | 優勝チーム |
第10回 | 芦屋競艇場 | 砂長知輝 | 白組 |
第09回 | 児島競艇場 | 新開航 | 紅組 |
第08回 | 尼崎競艇場 | 井上忠政 | 白組 |
第07回 | 宮島競艇場 | 吉川貴仁 | 紅組 |
第06回 | 常滑競艇場 | 畑田汰一 | 紅組 |
第05回 | 丸亀競艇場 | 平高奈菜 | 紅組 |
第04回 | 津競艇場 | 松尾拓 | 白組 |
第03回 | びわこ競艇場 | 吉川貴仁 | 紅組 |
第02回 | 江戸川競艇場 | 澤崎雄哉 | 白組 |
第01回 | 三国競艇場 | 上條暢嵩 | 白組 |
一方、過去の優勝者は、10回中9回の優勝者が男子ルーキー選手から出ています。レディースからの優勝者は1人のみ(第5回の平高奈々選手)。
上で書いた通り、この開催は「一般戦」扱いなので、A1の全国クラスの女子選手はあまり斡旋されないので、このような結果になっていると思われます。
やはり優勝となると、準優戦・優勝戦を勝ち抜かなければならないので、難易度は通常のレースと変わらないと見て良いでしょう。
決まり手の特徴
次に、開催中の決まり手を見てみましょう。
2023年1月の開催場だった芦屋はインが強いことで有名ですが、スタートさえ決まればコース関係なく「まくり」、展開がハマれば「差し」も決まる競艇場です。
決まり手は、やはりイン逃げが多い印象ではありますが、後半になると「まくり」が決まり始めています。つまり「スタートが分かってくると、まくりが決まる」ということです。
「まくり差し」は高度であり、B級・A2級の選手にとってはなかなか難しい技です。そのため、B級・A2級の選手はインが取れなかったら「まくり」か「差し」を狙うことになります。
しかし「差し」はうまく展開がハマらないと決まりません。つまり、積極的に勝ちを狙いにいくには、1号艇以外は「まくり」を狙うしかないのです。
2023年5月の次回開催
それでは、少し2023/5/5~5/10の次回開催(第11回)の展開を考えてみましょう。
まず、開催場である浜松競艇場ですが、インの勝率が50%前半とやや低目です。うねりや波立ちの少ない静かな水面ですが、競走水面の面積が日本で一番広い競艇場です。
浜松競艇場は浜名湖の中にあり、周りに遮るものが全くないので、他の競艇場より強風になることが多いです(地元ファンは「遠州の空っ風」と呼びます)。独特の季節風が吹き、春〜夏は向かい風が、秋〜冬は追い風が多い、というのが特徴です。
次回開催は5月につき、向かい風の可能性が高いです。なお、追い風はイン有利(スロースタートでも後ろから風が押してくれるから)、向かい風はアウト有利(思い切ったスタートでも風が押し戻してくれるのでフライングになりにくい)。
穏やかな競艇場である芦屋競艇場でも後半「まくり」が決まり始めたという傾向を考えると、次回の浜名湖開催では、もっと早い段階から「まくり」が多くなる可能性があります。
なお、スタート練習の時に僅かにフライングをしている選手は注目です。その選手は、本番では微調整のうえ決めて来ることが多いからです。風の強さは時々で違うので、スタート練習ではわざと少し早めに行い、本番で微調整するのは、スタート感が掴めている選手が行う調整です。
ちなみに、女子選手とルーキー選手は、前付けにいくことがあまりありません(前付けは「それをやっても許される実績を持つ選手」でなければブーイングを受けます)。そのため、枠番通りの進入が殆どでしょう(そもそも浜名湖では、無理やりインを取っても決定的に有利とはなりません)。
ちなみに、老練な選手は例えば2~3号艇に入ると1号艇を少しでも早くコース進入させ、「深インにさせて不利」にさせるべく様々なフェイントをかけます。しかし、このシリーズではそういう選手もおらず、インも焦らず距離を十分に取ることができるでしょう。
いくら浜名湖のイン勝率が低いといっても、50%以上はあります。決まり手は「逃げ」と「まくり」が多いと考えられますが、これもスタートが成功することが大前提です(「逃げ」は横一直線であればスタート成功だが、「アウト」は半艇身は前に出ないと成功と言えない)。
その意味で、やはり静岡支部所属・浜名湖競艇場ホームで、水面の特徴を掴んでいる地元選手が有利と言えるでしょう。