ボートレース界の最高峰のレースにして、全ての競艇選手の目標である賞金王決定戦(グランプリ)。
また、惜しくもグランプリを逃した選手により競われる、賞金王シリーズ戦(グランプリシリーズ)。
これら2つのSGが、2022年12月13日(火)~12月18日(日)にかけて、「ボートレース大村」で開催されました。
大村はボートレース発祥の地ですが、グランプリの開催は初でした。

この記事では、グランプリ・グランプリシリーズのレース概要や過去の優勝者、直近の優勝者、注目選手のレース結果などをご紹介します。
グランプリ・グランプリシリーズとは
グランプリは、その年に最も多く賞金を稼いだ最上位のボートレーサー達による、ボートレース界最高のSG競走です。一方で、グランプリシリーズは、惜しくもグランプリ出場を逃した上位選手によって競われるSG競争です。
具体的には、1月1日~11月開催のSGであるチャレンジカップ最終日までの、獲得賞金ランキングの上位60名のうち、上位18名がグランプリ、19位~60位がグランプリシリーズに出場することになります。
グランプリでは、優勝戦に出場する6名を選抜するため、トライアル1st、トライアル2ndという2段階の予選が設けられており、賞金ランキングの順位に応じて、どこからスタートするかが決められています。勝ち上がりの有利さが異なるわけですが、詳しくはこちらの図が分かりやすいです。
賞金金額は、グランプリがボートレース最高額の1億円、グランプリシリーズが1,700万円になります!
過去5年の優勝者
グランプリ・グランプリシリーズともに2022年で37回目の開催となり、過去5年の優勝者は以下の通りです。
グランプリ
開催回 | 開催レース場 | 優勝者 |
2022年(第37回) | ボートレース大村 | 白井英治 |
2021年(第36回) | ボートレース住之江 | 瓜生正義 |
2020年(第35回) | ボートレース平和島 | 峰竜太 |
2019年(第34回) | ボートレース住之江 | 石野貴之 |
2018年(第33回) | ボートレース住之江 | 峰竜太 |
参考:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/record/list?category=1500
グランプリシリーズ
開催回 | 開催レース場 | 優勝者 |
2022年(第37回) | ボートレース大村 | 宮地元輝 |
2021年(第36回) | ボートレース住之江 | 新田雄史 |
2020年(第35回) | ボートレース平和島 | 深川真二 |
2019年(第34回) | ボートレース住之江 | 馬場貴也 |
2018年(第33回) | ボートレース住之江 | 平尾崇典 |
参考:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/record/list?category=1800
第37回グランプリの優勝は白井英治選手!
2022年の第37回グランプリの優勝戦は、1号艇・白井英治選手がきっちり逃げ、待望のグランプリ初制覇を決めました。賞金ランキングは7位だったため、トライアル1stからの勝ち上がりです。
「関門のホワイトシャーク」の異名を持つ白井選手は、グランプリの出場は10度目、優出は5度目。過去、SG優出23回の一方で優勝回数2回と少なく、「無冠の帝王」と呼ばれたりもしていましたが、今回ついに栄冠を手にしました(山口支部として初)。
白井選手の師匠はレジェンド・今村豊氏ですが、師匠は現役生活39年の中でグランプリは15回挑戦して制覇できず、引退するときに白井選手に「必ずやグランプリを獲って黄金のヘルメットをかぶってほしい」と伝えたそうです。
そのため、表彰式で今村さんがサプライズ登壇すると、白井選手が師匠に黄金のヘルメットをかぶせるシーンも。今村氏は「白井英治は最高の弟子です、日本一の弟子です」と目頭を熱くしていました。
トライアル1stの結果
グランプリは、まず賞金ランキング7位~18位の12名の選手でトライアル1stが2日間行われ、うち6名がトライアル2ndへ進出。これに賞金ランキング1位~6位の6名の選手(※)を加えた12名の選手でトライアル2ndが3日間行われ、得点率上位6名が優勝戦へと進み、賞金王の座を争います。
※アドバンテージとして、6名には上位エンジンが割り当てられます
2022年のトライアル1stでは、太字の6名がトライアル2ndに進出しました(1日目と2日目の着順、得点)。
- 丸野一樹(3着→1着、25点)
- 池田浩二(1着→4着、23点)
- 磯部誠(4着→1着、23点)
- 羽野直也(2着→3着、23点)
- 白井英治(1着→5着、22点)
- 椎名豊(5着→2着、20点)
- 毒島誠(5着→2着、20点)
- 瓜生正義(4着→3着、20点)
- 桐生順平(2着→6着、19点)
- 遠藤エミ(3着→6着、18点)
- 上條暢嵩(6着→4着、16点)
- 石野貴之(6着→5着、15点)
※ 1着:14点、2着:12点、3着:11点、4着:9点、5着:8点、6着:7点
インが強い大村だけあり、1日目には池田選手・白井選手が、2日目には丸野選手が、1号艇からイン逃げを決めました。
一方、毒島選手・瓜生選手・桐生選手・遠藤選手・上條選手・石野選手の6名は、残念ながらトライアル2ndに進むことができず、グランプリシリーズに回りました(1stの得点をシリーズに持ち越し)。
毒島選手は、2日目に前付け2コースからのまくりで2着と意地を見せるも、同点で並んだ群馬の後輩・椎名選手に選出順位で敗れてしまいました。2021年のグランプリ優勝者(※)である瓜生選手も、惜しくも2ndには進めませんでした。
残念だったのが遠藤選手。初日は4号艇からの3着、試合後の枠番抽選では1号艇をゲット。しかし、まさかの6位に沈み、2nd進出を逃してしまいました。グランプリ独特の緊張感や雰囲気により初出場の選手は勝てないというジンクスが囁かれていますが、まさにその通りの結果になりました。
トライアル2ndの結果
2022年のトライアル2ndでは、太字の6名が優勝戦に進出しました(1日目~3日目の着順、得点)。
- 白井英治(2位・2位・3位、25点)
- 原田幸哉(1位・6位・1位、24点)
- 深谷知博(3位・1位・4位、23点)
- 磯部誠(2位・2位・5位、23点)
- 片岡雅裕(3位・1位・5位、22点)
- 馬場貴也(4位・4位・1位、22点)
- 羽野直也(4位・5位・2位、20点)
- 菊地孝平(1位・3位・2位、26点-減点7点)
- 池田浩二(5位・3位・3位、19点)
- 椎名豊(6位・5位・4位、15点)
- 丸野一樹(F・4位・6位、10点-減点10点)
- 山口剛(F・6位・6位、8点-減点10点)
※ 1着:10点、2着:9点、3着:7点、4着:6点、5着:5点、6着:4点
1位はないものの常に上位をキープした白井選手がトップ通過。
初日に勝利したものの、2日目に5号艇からの6位だった原田選手は、3日目に1号艇をゲットして勝利、2位通過。初日・2日目ともに4位だった馬場選手は、3日目に2号艇から勝利、賞金ランキング1位の意地を見せました。
初日11Rでは、賞金ランキング2位の1号艇・山口選手と、4号艇・丸野選手が悲劇のフライング。両者とも減点10点のうえ、2日目・3日目は6号艇からの出走となりました。来年3月のクラシックから4つのSGに出場不可、フライング休み後3ヵ月はG1・G2に出場不可です。
2日目11Rでは、菊地選手が不良航法と判定され減点7点。本来であればトップ通過のはずが、優勝戦進出を逃してしまいました。
2ndは2日目・3日目の枠番は抽選でしたが、インが強い大村ということもあり、抽選結果で明暗が分かれたように思われます。
第37回グランプリシリーズの結果
一方、グランプリシリーズの優勝戦は、3号艇・宮地元輝選手がまくり差しで勝利!
トライアル1stで敗退してグランプリシリーズに回った毒島選手と瓜生選手が1号艇・2号艇でしたが、コンマ09の鋭い飛び出しを決めた宮地選手が両選手の間を割って先頭に立ち、反撃を封じました。
宮地選手はSG初優出V。この勝利で2023年シーズンのいくつかのSG出場権利を得たため、2023年も飛躍が期待されます。
なお、2号艇・瓜生選手は、2021年のグランプリの王者でした。なお、この時の優勝戦は、1号艇の峰竜太選手が1マークに激突。レースを完走できたのは4号艇・瓜生選手と5号艇・白井英治選手のみで、史上ワーストの41億1426万3700円(発売額の96%)が返還されたレースでした。
1号艇・毒島選手は、昨年のグランプリで優勝戦までいきながら、この激突トラブルに巻き込まれた1人。今年はグランプリシリーズに回り、残念ながら優勝もなりませんでしたので、来年の巻き返しが期待されます。