ボートレース界の最高峰のレースにして、全ての競艇選手の目標である賞金王決定戦(グランプリ)。
また、惜しくもグランプリを逃した選手により競われる、賞金王シリーズ戦(グランプリシリーズ)。
2024年は、これら2つのSGが、12月17日(火)~12月22日(日)にかけて、「ボートレース住之江」で開催されました。
この記事では、グランプリ・グランプリシリーズのレース概要や過去の優勝者、直近開催の結果などについてご紹介していきます。
グランプリ・グランプリシリーズとは
グランプリは、その年に多く賞金を稼いだ最上位のボートレーサー達による、ボートレース界最高のSG競走です。
一方で、グランプリシリーズは、惜しくもグランプリには出場できなかった上位選手によって競われるSG競争です。
具体的には、1月1日~11月開催のSG・チャレンジカップ最終日までの賞金ランキング上位60名のうち、上位18名がグランプリ、19位~60位がグランプリシリーズに出場することになります。
まず、賞金ランキング7位~18位の12名でトライアル1stが2日間行われ、得点率上位6名がトライアル2ndへ勝ち上がり。
そして、賞金ランキング1位~6位の選手に、1stから勝ち上がった6名を加えた合計12名の選手で、今度はトライアル2ndが3日間行われます。
そして、2ndの得点率上位6名が優勝戦へと進み、グランプリ覇者の座を争います!
詳しくはこちらの図が分かりやすいです。
なお、グランプリシリーズは、3日目からグランプリのトライアル1stの下位6人が合流し、難易度がぐっと上がります(1st出場選手は、2日目まで全て1回走りなので、初日から参加しているシリーズ戦の選手とレース数を合わせるため、1st出場選手だけのレースが3日目に組まれます)。
グランプリ組は、点数的にもシリーズ戦出場組より恵まれているので有利です。更に、この1st下位6名だけのレースも少しだけ点数的には有利なので、このレースで1着の選手がシリーズ戦をリードすることが多いです。
賞金金額は、グランプリがボートレース最高額の1億1,000万円、グランプリシリーズが2,000万円になります!(2024年度)
グランプリの特徴
それでは、まずグランプリというレースの特徴について解説していきます。
全ボートレーサーが目標とする最高峰のレースだけに、通常のレースとは様々な違いがあります。
①グランプリでは「前づけ」に注意
グランプリの開催が多い住之江はイン有利の競艇場(水質が硬いため鋭角的なターンがやりづらい、追い風が吹くことが多いため「まくり」もやりにくいという特徴)。
そのため、過去のグランプリ優勝戦を見ると分かりますが、グランプリでは「前づけ」がよく行われます。普通のレースのように「当然に枠なり進入」ではありません。
少しでも有利な位置を取るべく、待機行動の段階から熾烈な争いが繰り広げられます。
この傾向は、住之江が固定開催場であった賞金王決定戦の時代からですが、当時は待機行動の制限が緩かったこともあり、6号艇が「前づけ」で1コースを取ったこともありました。
しかし、現行の厳しいルールでは、いくら「前づけ」しても、せいぜい2コースまで。
1コースは1号艇でほぼ決まりとみて良いため、そうなると、予選で好成績を収めて優勝戦の1号艇を狙うことが何よりグランプリ制覇への近道となります。
そのため、グランプリでは予選から「SGの優勝戦以上」の熾烈な位置争いが繰り広げられるわけです。
普段はダンプなどしない選手でも、グランプリとなると話は別。道中で順位が入れ替わることもよくあります。
普段のレースと同じように考えるのではなく、しっかりスタート練習を見ておきましょう。
なお、スタート練習時の位置を守らなければならない決まりは無いので、本番では話が別の可能性もあります。5号艇・6号艇が本番でどう動くか要注目です。
②グランプリ初出場で優勝した選手はゼロ
第1回目の彦坂郁夫選手はノーカウントですが、第2回目以降の開催で、グランプリ初出場で優勝した選手は一人もいません。
これは、グランプリの独特の雰囲気が原因と言われています。
全てのレースがSG決勝戦以上の大接戦で、ものすごく消耗する
SG優勝戦だって緊張しますよ。ですが、グランプリの緊張感は、それとは違う独特のものなんです。なんというか、前検日からプレッシャーを感じるとでもいいますか・・・
初出場の選手が勝てないのは、このグランプリ独特の重圧プレッシャーと、他の選手の普段とは異なる強烈な気合や闘志を、初めて経験するからのようです。
この状況下で、競艇界の最高峰の強者達を相手に戦うわけですから、厳しい戦いになるのも仕方がないのかもしれません。
過去5年の優勝者
グランプリ・グランプリシリーズともに2024年で39回目の開催となり、過去5年の優勝者は以下の通りです。
グランプリ
開催回 | 開催レース場 | 優勝者 |
2024年(第39回) | ボートレース住之江 | 毒島誠 |
2023年(第38回) | ボートレース住之江 | 石野貴之 |
2022年(第37回) | ボートレース大村 | 白井英治 |
2021年(第36回) | ボートレース住之江 | 瓜生正義 |
2020年(第35回) | ボートレース平和島 | 峰竜太 |
参考:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/record/list?category=1500
グランプリシリーズ
開催回 | 開催レース場 | 優勝者 |
2024年(第39回) | ボートレース住之江 | 前田将太 |
2023年(第38回) | ボートレース住之江 | 深谷知博 |
2022年(第37回) | ボートレース大村 | 宮地元輝 |
2021年(第36回) | ボートレース住之江 | 新田雄史 |
2020年(第35回) | ボートレース平和島 | 深川真二 |
参考:https://www.boatrace.jp/owpc/pc/data/record/list?category=1800
第30回グランプリ以降の優勝戦メンバーについては、こちらの記事も参考にしてください。
2024年の優勝は毒島誠選手!
2024年グランプリは、群馬支部のベテラン・毒島誠選手が、1号艇から見事な逃げを決めて優勝。
グランプリは、これまで優出経験は5回以上ありましたが、悲願の優勝を達成。SGは2024年3月のクラシック以来、9回目の制覇となりました。
既にベテランの域に達している毒島選手ですが、2024年は絶好調で賞金ランキング2位につけた毒島選手。
2ndから参加したグランプリ初日は1号艇からイン逃げ、2日目は5号艇でしたが前づけで4コースからの2着に入り、優勝戦ではポールポジションをゲット。
2024年12月22日(日)に開催されたグランプリ優勝戦は、以下の6名で争われました。
- 毒島 誠
- 桐生 順平
- 茅原 悠紀
- 馬場 貴也
- 池田 浩二
- 関 浩哉
令和6年の頂上決戦を制した毒島選手。
「思いのほか水面が良く、向かい風であんまりいいレースじゃなかった」と言いつつ、「とにかく良かったです」と優勝を喜んでいました。
トライアル1st・2ndの結果
それでは、2024年のグランプリのトライアル1st・2ndの結果を振り返ってみましょう。
トライアル1st
トライアル1stは2日間の短期開催で、一発勝負になる傾向が強いのが特徴です。
短期決戦ですので、1回でも1着を取れば、ほぼ2ndは当確。
初日は平本真之選手・菊地孝平選手が、2日目は土屋智則選手・関浩哉選手が、それぞれ1コースからイン逃げを決めました。
結果、2日間の合計得点は以下の通りで、上位6名がトライアル2ndに進出決定。
- 菊地 孝平(26点=14点+12点)
- 土屋 智則(26点=12点+14点)
- 関 浩哉(26点=12点+14点)
- 平本 真之(22点=14点+8点)
- 定松 勇樹(22点=11点+11点)
- 上條 暢嵩(21点=9点+12点)
- 宮地 元輝(18点=11点+7点)
- 西山 貴浩(18点=7点+11点)
- 河合 佑樹(17点=8点+9点)
- 瓜生 正義(17点=9点+8点)
- 佐藤 翼(16点=7点+9点)
- 松井 繁(8点=8点+0点)
※1位=14点、2位=12点、3位=11点、4位=9点、5位=8点、6位=7点
レジェンド・松井選手は4年ぶりグランプリでしたが、2回戦12Rで転覆失格。公傷により途中帰郷となりました。
トライアル2nd
トライアル1stを勝ち抜いてきた上の6名と、賞金ランキング1位~6位の6名で、3日間にかけてトライアル2ndが行われました。
結果、以下のような合計得点になり、上位6名が優勝戦進出しました。
- 毒島 誠(26点=10点+9点+7点)
- 桐生 順平(25点=9点+6点+10点)
- 茅原 悠紀(25点=9点+6点+10点)
- 馬場 貴也(24点=10点+9点+5点)
- 池田 浩二(23点=7点+7点+9点)
- 関 浩哉(21点=4点+10点+7点)
- 定松 勇樹(21点=6点+10点+5点)
- 土屋 智則(21点=7点+5点+9点)
- 上條 暢嵩(16点=5点+7点+4点)
- 峰 竜太(16点=6点+4点+6点)
- 平本 真之(14点=5点+5点+4点)
- 菊地 孝平(10点=0点+4点+6点)
※1位=10点、2位=9点、3位=7点、4位=6点、5位=5点、6位=4点
初日、1stをトップで勝ち上がった菊地選手が痛恨のフライング。。
菊池選手は、グランプリトライアルのスタート事故罰則により、SGは1年間選出除外、GI・GⅡは6カ月選出除外に・・・
注目された現役最強レーサー・峰選手も初日からふるわず、弟子の定松選手とともに、優勝戦進出はなりませんでした。
なお、優出した6名のうち、5名はトライアル2ndから参戦(=賞金ランキング6位まで)のメンバー。
(強い順のモーターを使っていることもありますが)過去のグランプリ優勝者は、圧倒的に2ndからの出場組が多く、2024年も同様の傾向となりました。