この記事では、競艇界のトップレーサーの1人である馬場貴也(ばば・よしや)選手について取り上げます。
2022年の最優秀選手であり、「滋賀のエース」「最強支部長」などと呼ばれる馬場選手について、じっくり紹介していきます!
※本記事は2024年10月現在の情報に基づきます。
馬場貴也選手について
馬場選手は1984年生まれ。
出身は京都府京都市で、滋賀支部に所属しており、2018年から支部長を務めています。
実績抜群で、①2018年のチャレンジカップ、②2019年のグランプリシリーズ戦、③2022年のボートレースダービー、④2023年のボートレースメモリアル、⑤2024年のボートレースメモリアルと、SGを5回も制覇しており、今や実力トップクラスの選手の1人ではありますが・・・
実は、2018年まではG3で1回優勝したのみで、他は全て一般戦での優勝でした。
そんな馬場選手の経歴をみてみましょう。
京都府立東稜高等学校を卒業後、やまと競艇学校(現ボートレーサー養成所)に入学。
登録期は93期で、登録番号は4262。
2003年11月デビュー、翌3月に初勝利。
初優勝は2007年5月でした(地元のビナちゃんカップ)。翌2008年9月には、児島競艇場のG3・第21回瀬戸の若鷲決定戦でG3レース初優勝。
しかし、この後、約10年もの期間、一般戦でしか勝てませんでした(なお、2010年には1分42秒6、2012年には1分42秒2の、日本最速レコードを叩き出しましたが・・・)。
そんな苦悩の時期を経て、馬場選手は、とあるきっかけから「覚醒」します。結果、2018年のチャレンジカップで、いきなりSG初制覇。競艇選手になって15年目の快挙でした。
2020年8月には、地元・びわこで初G1優勝。涙ながらに師匠・後明俊夫選手(引退)と握手を交わしました。
その後の活躍は冒頭の通りですが、いったい馬場選手に何があったのかは、後ほど詳しく見ていきましょう。
馬場選手の人柄
馬場選手の艇の整備力と操作力は人並み外れたものがありますが、家に帰ると2人のお子さんのパパであり(2012年5月に結婚)、おとなしくて優しい性格のようです。
馬場選手の弟子・澤田尚也選手(滋賀支部、5017)は、馬場選手について、以下のようにコメントしていました!
「ターンが一人だけ違ったんですよ。すごくダイナミックで、雰囲気があって、スピードがあって。この人のターンがしたいと思ったんですよね」と、まずターンに惚れたこと。
また、「一節間一緒に生活して、コミュニケーションをとってるうちに、こんな人になりたい、とも思ったんですよ。すごく尊敬できる人だなって。だからこの人に教えてもらいたい、と思ったんです」とのことで、馬場選手の人柄が伝わってきますよね。
また、馬場選手は、定期的に滋賀県に寄付を行っていることでも知られています。
いわく、「レーサーとしての自分があるのは、琵琶湖にある、びわこボート場のおかげ。自分なりの形で琵琶湖の環境保全と、子育て支援に役立ててもらおうと思って」とのことです。
馬場選手の「覚醒」
馬場選手は2012年、びわこ競艇場で3周1800メートルを1分42秒2で走り、自身が持つ日本最速レコードを更新しました。
このレースは一般戦の優勝戦でしたが、馬場選手は2号艇で差しを決め、そのままスピードターンを続けてゴール。
日本記録を出し、さらにその記録を自分自身で塗り替えるという、自他ともに認める「スピードマスター」である馬場選手。
そんな彼は、上で書いた通り、長年グレードレースで勝てない時期が続いていました。「SGどころか、G1でも優勝できないのは何故なんだろう・・・!?」と、深く悩んでいたそうです。
そんなある日、先輩である丸岡正典選手(SG2回優勝)に、ふと「お前は艇の前に乗りすぎ。もっと後ろに乗らないと駄目」と言われたそうです。
そして、試しに艇の後ろに乗って走ってみたところ、重心が艇の後方に行き、前の舳先が少し上がるようになり、ターンの感覚が全く違ったとか。
このように艇の後方に重心をかけて、舳先を上げてターンするテクニックは「ウィリーターン」と呼ばれます(バイクが前輪を持ち上げて走っているのと似ていることから)。
艇の底面と水面の接する面積が小さくなるため摩擦が減り、艇の向きを変えるのに都合が良く、トップクラスの選手の間ではよく知られている技術でした。
それから馬場選手は、ウィリーターンを練習。実際に試合でも使い始めました。
すると、2018年のチャレンジカップ初制覇を皮切りに、グレードレースで次々に勝利。一般戦でしか勝てなかった時期が嘘のような実績を上げ続けています!
過去3年の実績
「ウィリーターン」を得て、勝ち方を覚えた馬場選手は圧倒的に強く、これから「馬場貴也の時代」が始まるかもしれないとも言われています。
特に、過去3年は、競艇界の押しも押されぬ中心選手として活躍しています!
2022年の最優秀選手
2022年は、びわこG2・下関G1・戸田G1、そして常滑で行われた第69回ボートレースダービーで優勝。2023年1月、日本モーターボート競走会から最優秀選手に選ばれました。
とはいえ、グランプリを賞金ランキング1位で進出しながら、トライアル2ndは4位・4位・1位という結果に。優勝戦は6号艇から出走、意地をみせて2着に入るも、白井英治選手にグランプリ覇者+年間賞金王の座を最後の最後で奪われるという悔しい1年でした。
受賞の際は、「(ターンについても)まだまだ、もっと精度を上げられると思います」とコメントしていました。
2023年は峰竜太選手とのデッドヒート
2023年は、8月のボートレースメモリアルで優勝し、秋ごろまでは賞金ランキングのトップを快走。
しかしながら、涼しくなってからは復活してきた峰竜太選手と抜きつ抜かれつで、首位を奪いあう展開に。
11月のSG・チャレンジカップ直前時点では馬場選手が獲得賞金額トップでしたが(約1億3,400万円)、同大会の1日目ドリーム戦でまさかの妨害失格を起こしてしまい、賞典除外に。
結果、同大会の優勝戦できっちり2着につけた峰選手に賞金額を逆転され、2023年は賞金ランキング2位からグランプリに臨むことになりました。その後、12月15日に優勝戦が行われたG1・京極賞@丸亀では、1番人気を集めて1号艇から逃げて圧勝。
峰選手と並ぶグランプリの大本命として、大いに勢いをつけてグランプリに突入しましたが・・・
12月21日、グランプリのトライアル2ndの初日11R、1号艇から出走した馬場選手はターンマークに接触してまさかの転覆。
妨害失格で減点10となってしまい、いきなりファイナル進出は絶望的に。「滋賀支部初のグランプリ覇者になる」と宣言していた馬場選手ですが、本人にとってもファンにとっても、なんとも残念な結果になってしまいました。
結果、2023年は、グランプリ優勝の石野貴之選手・峰竜太選手に次ぐ、賞金ランキング3位でフィニッシュでした。
2024年はボートレースメモリアルを連覇!
2024年は梅雨の時期までは一般戦でしか優勝がありませんでしたが、6月の住之江の周年記念(G1)で優勝。
さらに、8月のボートレースメモリアルでは、予選16位からの大逆転優勝を決め、自身5回目のSG制覇を達成しました!
詳細は以下の記事をご覧ください。
2024年10月現在で賞金ランキング1位をキープしている馬場選手。年末のグランプリ出場はほぼ確実、昨年のリベンジなるかが注目されます!