競艇のスタートのルールや、これまでのルール改正について紹介します。
競艇ではフライングスタート方式という特殊なルールを採用していますが、スタートまでの過程の中にも様々なルールがあり、選手たちはそのルールの中でレースを行っています。
また、レースの平等性を保つため、過去にルールが変更されたものもあるんです。
待機行動のルール
ファンファーレと共に各艇がピットを離れ、スタートするまでの間を待機行動と呼びます。
一見ただスタート位置へ艇を動かしているだけの様にも見えますが、このわずかな間にいくつものルールがあるんです。
また、待機行動中にルール違反をすると待機行動違反として、7点という重い減点が科せられます。
待機行動違反 | |
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項目 | 内容 |
適正な間隔 | ・インへ入ろうとする艇が、2マークとの間隔を空け過ぎてはいけない ・2~5コースに入る艇も、それぞれの間隔を空け過ぎてはいけない |
ターンマーク、ネトロンへの接触禁止 | ・進入が深くなることを避けるため、ターンマークやネトロンなどに接触したり手でつかまる事などをしてはいけない |
モーターの停止 | ・故意にエンストなどさせて、モーターを停止させてはいけない |
割り込み | ・他の艇が150m見透し線に達したあとでは、内側に進入してはいけない |
艇同士の接触 | ・失速や加速による艇の追突により、他の艇に支障を与えてはいけない |
進路妨害 | ・接近している他の艇へ向けて転舵し、その進路に支障を与えてはいけない |
右方向への転舵 | ・低速航走中に右方向へ転舵してはいけない |
逆航走 | ・ボートの先端をスタートラインに向けたあとは、再びスタートラインと反対方向へ航走してはいけない |
進入コースの決め方
実は待機行動中には、各艇の間で様々な駆け引きが行われています。
現在のルールでは待機行動中に各艇がスタート位置を決めることができるため、進入コースの取り合いが行われているんです。
しかし、これは全てのレースで行われているわけではありません。
進入固定競走では1号艇から順に1コースから6コースへと、あらかじめ進入コースが決められています。
進入固定競走は、「待機行動中のコース取りがよくわからない」といった声から生まれました。
フライングスタートとは?
競艇では定められた時間から1秒以内にスタートラインへ艇が触れていなければ失格という、フライングスタート方式を採用しています。
時間前にスタートラインに触れるとフライング、時間内に触れられなければ出遅れとなり、ペナルティ(罰則)が課せられます。
スタートタイミングやフライングペナルティに関しては、こちらの記事で解説しています。
⇒競艇のスタート位置の決め方は?タイミングの難しさと基本ルール
これまでのルールの改正
競艇のルールや規定は、常に公平性を保とうと改正が繰り返されています。
今回紹介した待機行動と進入コースについても、過去に改正が行われているんですよ。
待機行動の規定変更
- 待機行動に入った後、バックストレッチ側で低速航走する艇は速やかに内側へ寄せて内線と平行に航走する事。
- 低速航走時の右転舵を、時間稼ぎ的航法として待機行動違反とする。ただし、内線に寄せたとき及びアウトコースの艇が助走距離を取るための右転舵はこの限りではない。
- 原則として先に150m見透し線に達した艇からインコース進入の優先権を得られる。この艇よりも内側に進入しようとした艇は、割り込みとされ待機行動違反となる。
ルール改正の理由
この改正が行われたのは2009年5月1日で、わかりやすい進入方法の確立を狙ったルール変更。
改正前のルールでは待機行動において、アグレッシブな駆け引きや時間稼ぎ航法が目立ったり、インコース側の艇があとから進入してくるといったこともあり、お客側から「わかりにくい」という声が多かったようです。
ルール改正の影響
この改正によって、蛇行などの時間稼ぎ航法で進入を浅くし、助走距離を取るといった行為が出来なくなりました。
また、艇同士を接触させたり、進路を妨げたりなどの激しい駆け引きが禁止に。
これにより、進入が深くなり過ぎて十分な助走距離が取れなくなるといった問題が解消。
さらに、待機行動時間を延ばすことでコース進入がわかりにくかった問題も解消。
お客側にとっては進入コースがわかりやすくなり、レース予想がしやすくなりました。
進入の規定変更
以前のルールでは、展示航走時の進入コースと本番での進入コースが違うと、出走資格の喪失(返還欠場)とされていました。
この規定は2008年5月1日以降を初日として廃止。
レースが開催される競艇場から、順次適用となりました。
その他、展示航走に出られなかった艇は本番には最アウトコースから進入、というルールがありました。
これを怠ると違反となっていましたが、2009年5月1日を初日として廃止。
レースが開催される競艇場から順次適用となりました。
ルール改正の理由
以前のルールは枠なり進入も多く、1号艇の1着率が高いものでした。
これでは他の艇が不利となってしまうため、他の艇にもチャンスがあるような変更となりました。
このルール改正により、進入固定競走以外ではインコースの取り合いなどの駆け引きができるようになりました。
ルール改正の影響
これによりルール変更の思惑通り、1号艇の1着率は以前ほど高くはなくなりました。
しかし、舟券を予想するお客側からすると、展示航走と本番で進入コースが違うといったレースが出てくることで、展示航走を見て立てた予想がパァとなってしまうリスクが生まれました。
駆け引きを楽しみたいお客にとってはプラスに働くルール改正ですが、やはり舟券の予想が難しくなるのはマイナス要素となったように思えます。
★ペラ制度の変更についての解説記事はこちら
⇒競艇のプロペラ制度-持ちペラ制の廃止でグループ交流や調整に変化が?
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