競艇は、基本的に男子選手と女子選手が混じってレースを行い、勝敗を争うスポーツです。
一方、全選手のうち15%程度を女子選手が占めており、女子選手だけのレースも頻繁に開催されています。
女子選手の成績を、男子選手と単純に比較した場合、依然として男子選手が有利な状況は変わっていませんが、最近では最高峰のレースで女子選手が勝利する例も出てきました。
この記事では、女子選手のビッグレースの紹介、男子選手と女子選手の賞金額の違い、女子選手の記録などについて、まとめてみました!
女子選手のビッグレース
かつての鈴木弓子選手の活躍などもあり、競艇界においても女子選手が増加し、競艇人気を引っ張ってくれています!
女子選手だけが参加できるレースも、頻繁に開催されるようになりました。
特に、女子選手のビッグレースと呼ばれる競走が年間4レースあります:
- レディースオールスター(2月・5月)
- レディースチャンピオン(8月)
- レディースチャレンジカップ(11月)
- クイーンズクライマックス(12月)
※レースの格付は、レディースチャンピオンとクイーンズクライマックスがPG1、残りの2つがG2
なお、2025年から、スピードクイーンメモリアルという新しいPG1が、毎年2月に開催される予定です!
この4つのビッグレースの今後の開催予定は次の通りです(開催日順)。
2024年11月:レディースチャレンジカップ(G2)
11月に開催されるレディースチャレンジカップ。2023年は長嶋万記選手が優勝しました。
2024年は、11/19(火)~11/24(日)にかけて、下関競艇場で開催予定です。
2024年12月:クイーンズクライマックス(PG1)
賞金女王決定戦とも呼ばれるクイーンズクライマックス。年末に行われる象徴的なレースです。
レースの格付はPG1であり、詳細についてはこちらの記事をご覧ください!
2023年は浜田亜理沙選手が優勝しましたが、2024年は12/26(木)~12/31(火)にかけて、蒲郡競艇場で開催予定です。
2024年2月&5月:レディースオールスター(G2)
2月と5月に開催されるレディースオールスターは、2017年に新設された女子選手のみのオールスター競走。これまで、西日本地区のレーサーの制覇が多いというのも特徴の1つです。
2024年は、2/20(火)~2/25(日)にびわこ競艇場で、5/7(火)~5/12(日)に宮島競艇場で、それぞれ開催されました。
2024年は、2月開催の優勝者は1992生・105期の渡邉優美選手、5月開催の優勝者は1989生・101期の守屋美穂選手でした!
2024年8月:レディースチャンピオン(PG1)
女子王座決定戦とも呼ばれるレディースチャンピオン。
2024年は、8/7(水)~8/12(月)にかけて開催され、遠藤エミ選手が優勝しました。
レースの格付はPG1であり、詳細についてはこちらの記事をご覧ください!
ビッグレースには含まれませんが、年2回「ボートレースレディースvsルーキーズバトル」という男女の団体戦で争われる開催もあります(扱いは一般戦)。
男子選手と女子選手の賞金額の違い
次に、賞金ランキングという観点からみてみましょう。
過去数年の男女混合の賞金ランキングはこちらの記事の通りです。
過去数年の遠藤エミ選手は例外として、トップレベルの女子選手の賞金額であっても5,000万円前後と、トップレベルの男子選手の1/3~1/4程度となっていることが分かります。
※女子選手だけの賞金ランキングはこちらになります。
基本的には男女混合で争われる競艇ですが、なぜこれほど獲得賞金に差が出てしまうのでしょうか?
選手の母数の違い
まず、男子選手と女子選手は、単純に選手数の母数が異なります。
増加傾向とはいえ、全選手のうち女子選手は15%程度しかいません(総数1,600人のうち、男子選手が1350人前後、女子選手が250人前後)。
男子選手でトップレベルに立つには1,300人以上の競争がある一方で、女子選手でトップレベルに立つには200人くらいのなかから抜きんでれば良いわけです。
そのため、女子選手でトップレベルと言われる選手でも、やはり男子選手のトップの猛者にはまだ通じない、というのが現状ではないでしょうか。
もしかすると、男女比率が50%ずつになったら、その争いを勝ち抜いてきた猛者同士の実力差は小さくなると思われます。
女性特有のイベント
女子選手のなかには、引退までいかなくても、結婚・妊娠・出産・子育てにより、選手としてのキャリアを一時中断する選手も多いです。
この点、女子選手全体のレベルアップという観点で見た場合、男性選手に比べて不利と言えるでしょう。まだ若くて、一番実力が伸びる時期に、キャリアを中断することになるからです。
加えて、女子の競艇選手は男子の競艇選手と結婚することが多いです。競艇選手は級が上がれば上がるほど宿舎での閉鎖的な生活時間が長くなり、好意を持つ人が同僚になりやすいんでしょうね。
日高逸子選手のように一般人と結婚し、旦那様が「主夫」として家事・子育てを引き受けてくれればよいのですが、相手が競艇選手ともなれば、どうしても子育ては女性選手が引き受けるケースが多いようです。
グレードレースへの出走率の少なさ
競艇のレースは、一般戦・G3・G2・G1・SGと、グレードが上がるほど賞金も高くなっていきます。
賞金額が高いトップレベルのレースは、A級の選手のみが出場できるので、ここでも母数の多さから、相対的に男子選手の出場が多くなります。
加えて、まだまだ女子選手は女子のみのレースに参加しているケースが多く、そもそも男女混合レースに参加する割合も少ないです。
結果として、男女混合戦のトップレベルのグレードレースでは、女子選手の出場数は極めて少なく、男子選手が優勢の状態が続いています。
決まり手からみえる実力差?
競艇はイン有利ですが、女子選手が1号艇でスタートした場合、その連対率は男性選手ほど高くありません。その分、「まくり」で勝利する割合が、男子選手より多いと言われています。
「まくり」は、スタートから1マークまででイン艇より前に出て、前をふさぐようにしなければ決まらないため、「スタート力」が必要になります。
また、まくった後は外に大きく膨らむので、後続艇に抜かれない「モーターの伸びの良さ(整備力)」がないと、1着にはなれません。
トップレベルの選手達のレースでは、「スタート力」「モーターの整備力」が高いレベルで互角であり、「スタートで誰も前に出られず、伸びも同じ、横一線」という状況になります。
結果、まくりが簡単には決まらず、イン1号艇が有利=「逃げ」で勝利しやすくなります。アウト勢は、イン艇に「差し」「まくり差し」で対抗せざるを得ません。
女子選手のイン逃げの割合が少ないのは、トップレベルの女子選手でも、トップレベルの男子選手に比べると、「スタート力」「モーターの整備力」が高くない、と考えらます。
また、女子選手は、重量が軽くて引き波に対して不利です(その分、バックストレッチの伸びの良さはあります)。1ターン目で後れを取ったが、そこからの伸び足を武器に、2マーク目でまくって勝利・・・という勝利パターンが、よく見られます。
その一方で、男女混合戦の最高峰のレースで、男子選手を抑えて優勝している女子選手も出てきています!
混合戦における女子選手によるSG・G1優勝
近年の男女混合レースにおける女子選手のSG・G1優勝は、SG制覇は1回、G1制覇は2回になります(上で挙げたPG1の②レディースチャンピオンと④クイーンズクライマックスは除外)。
SG制覇
2022年の第57回ボートレースクラシックで、遠藤エミ選手が女子選手として史上初のSG制覇を達成!翌日のスポーツ紙で異例の1面を飾るなど、大きな話題になりました。
G1制覇
G1制覇は近年で2回あり、20年以上前ではありますが1999年2月に開催された第42回四国地区選手権競走(鳴門)で、山川美由紀選手(香川支部)が優勝を果たしました。女子選手の記念制覇は42年ぶりの快挙だったそうです。
また、記憶に新しいところでは、2013年1月に開催された第60回近松賞(尼崎、周年記念レース)で、香川の「ヒラヒラコンビ」の片方である平山智加選手(香川支部)が優勝しました。
女子選手のみのレースがあるとはいえ、女子選手が賞金ランキング上位に食い込むことは、まだ容易ではありません。ただ、遠藤エミ選手によるSGレース制覇など、今後も女子選手の活躍は要注目です!